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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

映画館探検と『ドリームガールズ』

2007-03-14 19:46:18 | 映画評論
 前に、映画そのものではなく、魅惑的な女優さん、スカーレット・ヨハンスンを観に行って笑われたが、今回は映画館を見に行った。
 今をときめくトヨタの牙城、ミッドランド・スクエアーの一角にできたというミッドランド・スクエアー・シネマだ。

     

 最初、正面から堂々と入ってゆくと、慌てた制服がやってきた。
 「どちらへ?」
 「映画館」
 「それは向こう、商業棟の方です」
 そうなのだ、私はかの大トヨタの中枢部へズカズカ踏み込もうとして阻止されたのだ。

 指示に従って商業棟とやらへ行くと、私と同じお上りさんが沢山いて、混雑している。
 長い行列ができているので、何ですかと聞くと、上層階や屋上展望台へ行くエレベーターを待つ行列だとか。
 戦争前後の配給物資の行列以来、行列拒否症のある私は、高いところは煙と何とかに任せ、エスカレータで映画館のある箇所を目指す。

 

 四階まではふきぬきで、商店や飲食が並んでいるのだが、どうも私の懐とは釣り合いそうにない箇所が多いのでそれらはスルーしてひたすら目的へ。
     
 

 五階、七スクリーンをもったスクエアー・シネマがあるのだが、ここも結構混雑している。
 チケット売り場は、航空会社のカウンターよろしく、そこでチケットの売買と同時に席が決められる。

 
         チケット売り場    

 ロビーは軽飲食やスナック菓子の匂いが立ちこめている。若い人達には、それが映画へのイントロになるのだろうが、私にはちょっと・・。

 十分前に入場。館の造りとしては、名古屋パルコのセンチュリーに似ているように思った。スクリーンに向かって席の段差が大きいので、前に頭でっかちが座っても、スクリーン枠に引っかかることはない。

 
          ロビー風景・1
 
 革張りの席というのが売りで、確かに坐り心地はいいが、映画に熱中し出すと椅子の材質感などどうでもよくなるのではとも思う。
 それよりも、もう気持ち、前後の間隔を空けて欲しかった。というのは、映画を観ていて、足を組み替えたいときなど、前の背もたれに足がつかえはしないかと、幾分心配なのだ(とくに私のように足が長いとその悩みは大きい)。

    
           ロビー風景・2

 実際のところ、映画のいい箇所で、後ろの観客が足の組み替えを行い、それが背中にこつんと伝わったりするのはいやなもので、折角の熱中から引き戻されてしまう。

 
         いよいよエントランスへ
 
 むろん映画も観た。ただし、今回は館そのものの探検であり、その後の病院行きが控えていたので、時間的に合うものとして『ドリームガールズ』を観た。

     
       この右手に7つのスクリーンが

 これがなかなかのもので、音楽と映画というのは相性がいい。
 60年代、女性のボーカリストからなるトリオが、どうスターダムへとのし上がるかの物語だが、それは、ラスベガスのショーへの出演に関し、司会者が、
 「今日は黒人の芸人だ。ちょうどいい。後で掃除をさせることができる
 といった時代なのである。

 マルティン・アーサー・キングも、面白いジョークの中で登場する。

 だが、売れるにつれ、メッセージ性を持った歌詞が敬遠されたりもする。この辺りは、日本のフォークゲリラが、メジャーになるにつれそのメッセージを放棄してゆくのと似ている。

 アカペラで始まる歌が、次第に熱唱に昇華するのは、ミュージカルにはおなじみの手法なのだろうが、それが、オペラのレシタティヴォのようで面白かった。

 歌唱力では主役のエフィー(ジェニファー・ハドソン)が圧倒していた。彼女の声は、怒鳴ったり叫んだりしても、それが強靱な声帯を経由するためか、ちゃんと楽音として快く響き渡る

 この種の映画では04年の『Ray/レイ』を観たことがあるが、その映画では音楽がすばらしかったにもかかわらず、アメリカ流の軽薄な精神分析がしゃしゃり出て、彼のトラウマを押しつけるのが邪魔だったが、この映画にはそんな余分なものはない。
 すかっとしたエンターティメントとは、こうでなくっちゃぁ。 
コメント
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