*偉そうな表題を付けましたが、私自身が誤解していたのです。
いつものように所用で自転車を駆っていた。
そしていつものように、同じ道ではつまらないからと少し違う経路を選んだ。
かまぼこ形のブドウ棚のようなものがあった。
キウイの畑である。
最近、この辺りでもよく見かけるのだが、ここは結構規模が大きい。
見れば結構たわわに実を付けている。
キウイといえばニュージーランドの特産で、ニュージランドの国鳥キウイ・バードにその形状が似ているのでこの名で呼ばれていると言われ、私もそう信じ込んできたが、どうやらそれは誤りらしい。
まず、ニュージーランドの特産というのが誤りで、元々は中国の長江流域の原産で、ニュージーランドへ持ち込まれたのは1904年、たかだか100年前だという。
その後、ニュージーランドで品種改良などがなされ、わずか半世紀で、諸外国へ輸出するまでなったのは事実である。
その当時の名前はチャイニーズ・グーズベリー(chinese gooseberry)で、要するに、「中国スグリ」という原産地の名残をを留めるものであった。
ところがである、当時(1950年代)は東西ブロックによる冷戦のまっただ中で、「中国(chinese)」と付くだけで米国やその同盟国へは輸出しにくかったというのだ。そんな事情で、改名を迫られることとなった。そこで、もともと現地語でニュージーランドを意味するキウイを付け、「キウイ・フルーツ」として輸出を促進したらしい。
この作戦は成功し、この果物は世界的に「キウイ・フルーツ」で知られるところとなって今日に至っている。
このくだりは面白い。
いわゆる言語ゲーム論とはいささか次元を異にするが、言葉というものが、様々な諸関係のうちでそれとして流通することを示しているように思われるからである。
そしてさらに、たかがひとつの果物が「冷戦」という世界史的事実を担っているという点での面白さもある。
さらに言うならば、ものみな商品とされる現実の中においては、ものの命名は「売る・売られる」が重要な基準となっているということである。
要するに、売れない名前は売れる名前に取って代わられるのだ。
ちなみに、ニュージーランドのキウイ産出量は世界で3位であり、2位は原産地の中国、そして第1位はなんとイタリアだという。
イタメシ屋にはやはりキウイを使ったメニューが結構あるのだろうか。
なお、日本での栽培は1969年からといわれているが、こうした果物があるという事実が広く知られるきっかけは、1970年の大阪万博といわれている。
キウイ畑を見た感想を書こうとしてちょっと調べたら、私の先入観を覆すいろんな事実が出てきた。
一見些細なことどもが秘めている事実は面白い。
「たかがキウイ、されどキウイ」という言い古されたレトリックで、この拙文を閉じたいと思う。
*上の拙文は、「駒沢女子短期大学キウイ・フルーツ研究室」のHPから多くの示唆を受けたことを感謝と共に申し添えます。
*なお、余談ですが、このキウイフルーツはマタタビの仲間で、和名を「オニマタタビ」と言うそうです。
今度、スーパーなどでキウイを買うとき、店員さんに「オニマタタビはどこにありますか?」と訊いてみましょう。
不審者が現れたとして、警備員が駆けつけたらその店員さんは正常です。
「あ、それならここにあります」とちゃんと案内してくれたら、その人は少しマニアックで危ないかも知れません。
<おまけ 六の料理帳から>
「くずきりのキウイ・ドレッシング和え」
1)くずきりを湯がき水分を切っておく。
2)キウイの皮をむき、それをおろし金でおろす。
3)それに、塩、胡椒(出来れば粗挽き)を加え、よく撹拌する。
さらに、オリーヴのエキストラオイル(ごく少量)を加える。
4)それを先のくずきりと合わせて和える。
ミントなどの香草をまぶすと味が多彩になります。
ところてんの発想で、ごまを振ってもいいでしょう。
本当は、夏場に作ると爽やかな一品になります。
このキウイ・ドレッシングは、野菜にかけてもおいしいはずです。
いつものように所用で自転車を駆っていた。
そしていつものように、同じ道ではつまらないからと少し違う経路を選んだ。
かまぼこ形のブドウ棚のようなものがあった。
キウイの畑である。
最近、この辺りでもよく見かけるのだが、ここは結構規模が大きい。
見れば結構たわわに実を付けている。
キウイといえばニュージーランドの特産で、ニュージランドの国鳥キウイ・バードにその形状が似ているのでこの名で呼ばれていると言われ、私もそう信じ込んできたが、どうやらそれは誤りらしい。
まず、ニュージーランドの特産というのが誤りで、元々は中国の長江流域の原産で、ニュージーランドへ持ち込まれたのは1904年、たかだか100年前だという。
その後、ニュージーランドで品種改良などがなされ、わずか半世紀で、諸外国へ輸出するまでなったのは事実である。
その当時の名前はチャイニーズ・グーズベリー(chinese gooseberry)で、要するに、「中国スグリ」という原産地の名残をを留めるものであった。
ところがである、当時(1950年代)は東西ブロックによる冷戦のまっただ中で、「中国(chinese)」と付くだけで米国やその同盟国へは輸出しにくかったというのだ。そんな事情で、改名を迫られることとなった。そこで、もともと現地語でニュージーランドを意味するキウイを付け、「キウイ・フルーツ」として輸出を促進したらしい。
この作戦は成功し、この果物は世界的に「キウイ・フルーツ」で知られるところとなって今日に至っている。
このくだりは面白い。
いわゆる言語ゲーム論とはいささか次元を異にするが、言葉というものが、様々な諸関係のうちでそれとして流通することを示しているように思われるからである。
そしてさらに、たかがひとつの果物が「冷戦」という世界史的事実を担っているという点での面白さもある。
さらに言うならば、ものみな商品とされる現実の中においては、ものの命名は「売る・売られる」が重要な基準となっているということである。
要するに、売れない名前は売れる名前に取って代わられるのだ。
ちなみに、ニュージーランドのキウイ産出量は世界で3位であり、2位は原産地の中国、そして第1位はなんとイタリアだという。
イタメシ屋にはやはりキウイを使ったメニューが結構あるのだろうか。
なお、日本での栽培は1969年からといわれているが、こうした果物があるという事実が広く知られるきっかけは、1970年の大阪万博といわれている。
キウイ畑を見た感想を書こうとしてちょっと調べたら、私の先入観を覆すいろんな事実が出てきた。
一見些細なことどもが秘めている事実は面白い。
「たかがキウイ、されどキウイ」という言い古されたレトリックで、この拙文を閉じたいと思う。
*上の拙文は、「駒沢女子短期大学キウイ・フルーツ研究室」のHPから多くの示唆を受けたことを感謝と共に申し添えます。
*なお、余談ですが、このキウイフルーツはマタタビの仲間で、和名を「オニマタタビ」と言うそうです。
今度、スーパーなどでキウイを買うとき、店員さんに「オニマタタビはどこにありますか?」と訊いてみましょう。
不審者が現れたとして、警備員が駆けつけたらその店員さんは正常です。
「あ、それならここにあります」とちゃんと案内してくれたら、その人は少しマニアックで危ないかも知れません。
<おまけ 六の料理帳から>
「くずきりのキウイ・ドレッシング和え」
1)くずきりを湯がき水分を切っておく。
2)キウイの皮をむき、それをおろし金でおろす。
3)それに、塩、胡椒(出来れば粗挽き)を加え、よく撹拌する。
さらに、オリーヴのエキストラオイル(ごく少量)を加える。
4)それを先のくずきりと合わせて和える。
ミントなどの香草をまぶすと味が多彩になります。
ところてんの発想で、ごまを振ってもいいでしょう。
本当は、夏場に作ると爽やかな一品になります。
このキウイ・ドレッシングは、野菜にかけてもおいしいはずです。