年寄りは口が卑しくなるといいます。もちろんそれに当てはまらない人も多いのですが、なにを隠そう私はどんぴしゃりそれに相当し、したがってしばしば食い物の話をします。
とりあげるのは誰しも一度は口にしたり見たりしたことがある「柿の種とピーナッツ」をブレンドしたおつまみです。
いろいろな乾き物の取り合わせがありますが、この柿の種とピーナッツ=通称「柿ピー」が最強の取り合わせだと思うのです。
ナッツ類共通の芳醇な香ばしさ、そして小粒ながら米菓特有のカリッとした食感とちょっと辛口の口当たり、その取り合わせの普遍性は抜群ですが、おつまみとしての適応力も幅広いものがあります。蒸留酒から醸造酒まで、ほぼ適応可能です。
日本酒のしっとり感にはちょっとという向きもありますが、コップ酒などはこれでじゅうぶんです。
ところで、この柿の種とピーナッツ、もともとは単独で別の商品だったことは間違いないのですが、誰がそれをブレンドし、柿ピーを生み出したのでしょうか。
一説によれば、東京の外国人向けホテルのバーで、おつまみとして柿の種とピーナッツと合わせて出したところ評判が良かったというのがあります。
また、別の説では、豆屋さんがピーナッツを販売する際、ピーナッツが湿気ないように柿の種やあられを混ぜたのが始まりともいいます。
ところで、この柿ピーをはじめから同梱して売り出したのは亀田製菓で、1966年のことだといいます。
その亀田製菓は、その誕生秘話を以下のように記しています。
「当時はおせんべいはすべて量り売りで、創業当時の亀田製菓でも、本社の近くに直売所があり、おせんべいや柿の種と一緒に、ピーナッツも量り売りしていました。その際、直売所で店番をしていた創業者の奥さんが、量り売りしていた柿の種にピーナッツを混ぜてみたら、お客さまに“食べ合わせがいい”と評判になったといいます」
いすれにしても、はじめからピーナッツと柿の種を同梱したのは亀田ですから、この説には信憑性があります。
この際、特許や実用新案はとらなかったのか、現在ではいろんなところから柿ピーが発売されています。
私もこれを、三時のお茶のお供やナイトキャップのつまみなどに愛用していて、ほぼ欠かしたことはありません。
ただし、安い柿ピーを買ってくると、まずピーナッツが美味しくないのです。ですから、あまり格差のない柿の種はそれ自身として購入し、一方、地元のピーナッツメーカーのマアマアのものを購入してきて、食べる都度、自分でブレンドしています。
現在の予めコラボした既成の柿ピーは、スタンダードで6:4の比率だそうですが、私の場合はその日の気分によってまちまちです。
最後に決り文句をいわせてください。
「たかが柿ピー、されど柿ピー!」