わが家は田圃の埋立地の上にある。その折に埋め立てた土が、土と呼べるような代物ではなく、山のガレ場から持ってきたようないわば砕石状のものだ。埋め立てに立ち会っていたが、その中にはなんと重量何百キロという赤石が三個ほど混じっていて、埋め立てには使わず、庭石として使っている。
ようするにわが家の土壌は、土壌改良を施さない限り、草花を育てるには全く不向きだということだ。
土を買ってきてプランターという手もある。事実連れ合いが生きていた頃には、プランターにパンジーなどを植えたりしていたが、それも結構気まぐれで継続していたわけでもない。
私に関していえばもっとものぐさで、それすらも全くしていない。したがってこの季節、春の花々が咲き乱れるのだが、わが家に関してはこの時期に咲く草花は皆無である。
その代わり、木に咲く花は種類は多くはないが元気である。亡父譲りの紅梅の鉢以外は直植えだが、おそらくその根っ子の先端は、埋め立てたガレ石の下のかつての田圃の層にまで達しているため、育つのだろう。
最初に咲くのは、上に述べた紅梅。2月の10日頃に咲き始め、18日には降雪をみたため、咲いた梅が雪に覆われるという珍しい光景が実現した。満開は2月25日頃か。
3月24日現在ではすっかり葉が出ている。
そしてこの2月25日には、例年より一週間ほど早く、桜桃が実る桜が開花し、3月5日には満開に達した。しかも花の付きは例年に比べて実に旺盛で、モコモコ盛り上がるほどだった。
果たせるかな、僅かな花を残してすっかり散ってしまった3月24日現在では、たくさんの桜桃の赤ちゃんが例年以上ににぎやかにぶら下がっている。
梅と桜の退陣に伴って、いま現在の花は連翹(れんぎょう)と雪柳である。実のところ、これらも数日前が満開で、24日現在では、葉のほうが目立ち始めた。
この両者は、多分去年のほうが花の付きが良かったと思う。写真を見比べてみると、去年のほうが真っ黄色と、真っ白に全体が覆われている。
今後、これらに次ぐのがツツジだろう。赤と白の樹齢40年以上の木があるが、枝先にはもう、しっかりと蕾を宿している。4月の中頃の開花だろうか。
それから、花ではないがマサキの木が一本あって、まもなく出てくるこれの新葉が実にきれいなのだ。小さな黄緑の花も咲くのだが、これは気をつけてみないとそれとわからないほどに細かい。その代わりその新葉は光沢をもった若緑でまぶしいほどに美しい。
これらがわが家を彩る春の色彩である。草花に比べれば種類も少ないが、年々歳々、それぞれ季節の到来を告げてくれる「憂い奴」たちである。
もうあと何年みることができるかなどという辛気臭いことは考えず、花々は、ただ咲くがままに咲くという単純明快なファクトに、おのれの心情を重ね合わせ、それらを愛でたい。
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