課長が事務所に来ると言った。
「オレ、暮れに飲んだ時途中から記憶がなくなってね・・・カァちゃんに「かぶってるの誰の帽子?」って言われたんだよ。」
「えっ!記憶がなかったんですか?!」
「そう。」
そうなのだ。
あの時、確かに隣で課長は日本酒をいい感じに飲んで、(いつもは一次会で帰ることも多かったのに)2次会も行きましょうと言うと一緒に来た。
二次会の店まで歩きながら「課長も何か歌いますか?」と尋ねると、「チューブのあぁ夏休みを歌う」と言うのだった。
そして、二次会のカラオケスナックでまたもや課長の隣だったので「チューブ入れますか?」と尋ねると歌う歌うと言い、真っ先にあぁ夏休みを思いっきり立ちあがって歌ったのだった・・・・。
(いつもはカラオケでも歌わない方の人なので「あぁ今日は酔っているんだなぁ」とこの時思う。)
課長は今日の飲み会でも「暮れの時、知らない帽子をかぶって家に帰ってしまった」という話をみんなにした。(今日の飲み会は暮れの飲み会と同じメンバーだった)いったいどこの誰の帽子だったのだろう?という話をして、「え!本当に記憶を無くすほど飲んでいたの?」と皆が口々に驚くほどで「ちょっと明るかったけれど、普通だったよね?sakeさん」とAさんやnanuさんが言うのだが、私は(えぇ~?)と苦笑するばかりだった。
I山さんが「sakeさん、○○年生まれでしょ?!」と勢いづいて言うので、私はちょっぴり誇らしげに「いいえ、私は早生まれなので○○+1年生まれです。」と答えると「それじゃ違う」と言う。
何が違うかと言うと、今年2018年、昭和○○年生まれの人は「何をやっても八方塞がり」の三重苦のような年回りらしいのだ。会社に来ている小冊子で見たというので、二黒土星とかああいう占いなのかもしれない。とにかく今年はその○○年生まれの人は八方塞がりのとんでもない年だという事を知り、慌てふためいたI山さんは、神社でお祓いをしてもらいお守りを5つも買って身に着け、同級生にも配っているそうである。
(そんなものと違って良かった。遅くに産んでくれた母に感謝したい。)
そして課長の話である。
「いや、暮れに飲んだ時の記憶が全然なくて、誰かの帽子をかぶって帰ってしまったんだけど、知ってる?」と尋ねるが、誰も心当たりのものはいない。何でも女性用の帽子だったそうである。
「帽子かぶってなかったっけ?」
「自分のニット帽はポケットに入っていたんだよ。」
「二次会にはそんな帽子かぶるような(女)はいなかったな。」
「一次会で隣のテーブルの帽子をかぶっちゃったんじゃないの?」
「全然覚えてないんだよ。」
・・・・・
実は二次会の後、私は課長とnanuさんと駅まで歩いていた。
そして、普通に歩いていたが、カラオケの時と言い何となく課長のテンションがいつもと違うなァと感じつつあった。
nanuさんはLINEを開きながら歩いていた。
そこに黒い帽子が落ちていた。
課長は何気にそれを拾っていた。
そしてしばらくして課長を見ると、その帽子が頭に乗っていたのだ。
私はその頭を見ながら、どう突っ込んでいいのか分からなかった。
「あれ~?それ落ちていた帽子ですよぉ?」
「あれ~?それは課長の帽子ですか~?」
いったい何と言えば良かったのだろう。
確かに一瞬前に、黒い帽子が落ちていた。
そしてそれを手に取っている課長の姿はあった。
普通だったら、それで「帽子かぁ」とまた手離すだろう。
そう思っていたら、次に見た場面では何故か課長がその帽子を頭にかぶせて歩いていたのである。
細切れに考えれば、たぶんあの帽子を課長が拾ってそのまま頭にかぶせたのだと思うが、「落ちていた帽子をあなたは、たった今かぶりましたよね?」と言うタイミングを逃してしまったのである。
そこをとがめるよりも、「まぁ別にいいか・・・」と思って、そのまま無難に何も気がつかないフリをしてしまった。
またその行動があまりに自然だったため、一緒に歩いていたnanuさんも気がつかなかった。
そしてLINEを送ったnanuさんは「やっぱ、もう1軒みんなと行ってくる」と行ってしまった。
私は課長を見た。
女物の黒い帽子(ちょっとロシア風)をかぶっている課長を。。。
でもそれを見つつ「その帽子、あなたのではありませんよね?」と指摘する勇気がなかったのだ。
(それにちょっと何だか面白い)
二人で電車に乗った。
私は途中の駅で「それでは失礼します」と降りて行った。
そしてロシア風の女物の帽子をかぶりながら、うたたねしつつある課長を横目にホームの階段に向かったのだった。。。
「オレ、暮れに飲んだ時途中から記憶がなくなってね・・・カァちゃんに「かぶってるの誰の帽子?」って言われたんだよ。」
「えっ!記憶がなかったんですか?!」
「そう。」
そうなのだ。
あの時、確かに隣で課長は日本酒をいい感じに飲んで、(いつもは一次会で帰ることも多かったのに)2次会も行きましょうと言うと一緒に来た。
二次会の店まで歩きながら「課長も何か歌いますか?」と尋ねると、「チューブのあぁ夏休みを歌う」と言うのだった。
そして、二次会のカラオケスナックでまたもや課長の隣だったので「チューブ入れますか?」と尋ねると歌う歌うと言い、真っ先にあぁ夏休みを思いっきり立ちあがって歌ったのだった・・・・。
(いつもはカラオケでも歌わない方の人なので「あぁ今日は酔っているんだなぁ」とこの時思う。)
課長は今日の飲み会でも「暮れの時、知らない帽子をかぶって家に帰ってしまった」という話をみんなにした。(今日の飲み会は暮れの飲み会と同じメンバーだった)いったいどこの誰の帽子だったのだろう?という話をして、「え!本当に記憶を無くすほど飲んでいたの?」と皆が口々に驚くほどで「ちょっと明るかったけれど、普通だったよね?sakeさん」とAさんやnanuさんが言うのだが、私は(えぇ~?)と苦笑するばかりだった。
I山さんが「sakeさん、○○年生まれでしょ?!」と勢いづいて言うので、私はちょっぴり誇らしげに「いいえ、私は早生まれなので○○+1年生まれです。」と答えると「それじゃ違う」と言う。
何が違うかと言うと、今年2018年、昭和○○年生まれの人は「何をやっても八方塞がり」の三重苦のような年回りらしいのだ。会社に来ている小冊子で見たというので、二黒土星とかああいう占いなのかもしれない。とにかく今年はその○○年生まれの人は八方塞がりのとんでもない年だという事を知り、慌てふためいたI山さんは、神社でお祓いをしてもらいお守りを5つも買って身に着け、同級生にも配っているそうである。
(そんなものと違って良かった。遅くに産んでくれた母に感謝したい。)
そして課長の話である。
「いや、暮れに飲んだ時の記憶が全然なくて、誰かの帽子をかぶって帰ってしまったんだけど、知ってる?」と尋ねるが、誰も心当たりのものはいない。何でも女性用の帽子だったそうである。
「帽子かぶってなかったっけ?」
「自分のニット帽はポケットに入っていたんだよ。」
「二次会にはそんな帽子かぶるような(女)はいなかったな。」
「一次会で隣のテーブルの帽子をかぶっちゃったんじゃないの?」
「全然覚えてないんだよ。」
・・・・・
実は二次会の後、私は課長とnanuさんと駅まで歩いていた。
そして、普通に歩いていたが、カラオケの時と言い何となく課長のテンションがいつもと違うなァと感じつつあった。
nanuさんはLINEを開きながら歩いていた。
そこに黒い帽子が落ちていた。
課長は何気にそれを拾っていた。
そしてしばらくして課長を見ると、その帽子が頭に乗っていたのだ。
私はその頭を見ながら、どう突っ込んでいいのか分からなかった。
「あれ~?それ落ちていた帽子ですよぉ?」
「あれ~?それは課長の帽子ですか~?」
いったい何と言えば良かったのだろう。
確かに一瞬前に、黒い帽子が落ちていた。
そしてそれを手に取っている課長の姿はあった。
普通だったら、それで「帽子かぁ」とまた手離すだろう。
そう思っていたら、次に見た場面では何故か課長がその帽子を頭にかぶせて歩いていたのである。
細切れに考えれば、たぶんあの帽子を課長が拾ってそのまま頭にかぶせたのだと思うが、「落ちていた帽子をあなたは、たった今かぶりましたよね?」と言うタイミングを逃してしまったのである。
そこをとがめるよりも、「まぁ別にいいか・・・」と思って、そのまま無難に何も気がつかないフリをしてしまった。
またその行動があまりに自然だったため、一緒に歩いていたnanuさんも気がつかなかった。
そしてLINEを送ったnanuさんは「やっぱ、もう1軒みんなと行ってくる」と行ってしまった。
私は課長を見た。
女物の黒い帽子(ちょっとロシア風)をかぶっている課長を。。。
でもそれを見つつ「その帽子、あなたのではありませんよね?」と指摘する勇気がなかったのだ。
(それにちょっと何だか面白い)
二人で電車に乗った。
私は途中の駅で「それでは失礼します」と降りて行った。
そしてロシア風の女物の帽子をかぶりながら、うたたねしつつある課長を横目にホームの階段に向かったのだった。。。