ある大手マスメディアサイトの掲示板には面白い投稿が多く(いろんな人がいるんだなあという意味で)、たまに目を通しますが、投稿する人が大抵非常識な相談(質問)をして、多くの人から叩かれるという図式が一般的です。叩いている人たちの言っていることはもっともなことが多いのですが、それにしても、そんな言い方でそこまで言わなくてもという表現も多く、こうした匿名性の高いメディアの怖さを感じます。
話が横道にそれましたが、その掲示板に「野球三昧の夫を遠く感じる」というトピックスがありました
。内容は「少年野球の指導者をしている夫に、もっと家族(妻と野球をやっていない娘三人)のことも考えてほしい」というものですが、状況をややこしくしているのは、以前夫の実家近くに住んでいたが、妻がその土地や実家になじめず、夫に大好きだった仕事を転職してもらい、現在は妻の実家近くに移り住んでいるということです。
結果、
「夫の居場所が野球しかなかったのではないか」
「夫に転職までさせておいて、夫の生きがいまで取り上げるのか」
「夫に打ち込むものがあるのことに嫉妬しているのでは」
という批判(またはアドバイス)のレスポンスが多くある一方、
同じ立場(夫が少年野球の監督・コーチ)の人からは、
「うちも同じです。監督を降りないと離婚と告げている…」
「他人の子どもを見るのに土日をすべて使い、自分の子どもは父親と遊んだこともない」
「ATMと割り切っている。機能しなくなったら捨てるだけ」
と擁護する(怖い)意見もありさまざまです。
そのほか、
「少年野球の指導者なんて自分で勝手に名乗り出て指導しているだけで、
何の責任もなく、子どもの中で絶対君主になって気持ちがいいだけ」
という独善的意見を言う人に対して、
少年野球をしている子を持つ人や指導者から
「自分で名乗り出てやっているだけではないし、責任がないなんてことはまったくない」
と反論があったりして、結局この手の掲示板で、何か議論が収斂して、結論が出ることはありません。
結果、トピ主が行き着いた感想は「実際にその立場にならなければ、その気持ちを理解するのは難しい」というものでした。それはそうでしょう。毎日顔を突き合わす人間のことだって、分からないのに、ネット上の短い書き込みの中だけで分かったようにいろいろ意見を言われても、受け入れるのは難しいでしょうね。よくよくトピ主の発言を読んでいると、夫はどこまでもポジティブで前向き、悪気もなく、まっすぐで正論の人とのことです。少年野球の監督としては、非常に好ましい人物像です。しかし、家のことは何もしないが子煩悩で、家族のことも気にかけていると自分では思っているが、実は家族の気持ちに全然気づいていないことにトピ主はいら立っているように私には見えました。
つまり、少年野球が問題なのではなく、人間関係の最大の問題である「相手の立場に立って考えられない(が、自分の立場は主張している)」ということに行き着くような気がします。野球を休んでどこかに出かけたって気持ちが通じてなければ、お互いに満足しないような気もしますし。逆に、どんなに仕事が忙しくても、少年野球に打ち込んでいようと、円満な家庭は円満なのだろうと思います。
我が家の場合は、倅が散ドラに入団した直後に3つ上の娘は中学生になり、部活中心の生活になりましたので、幸い他の兄弟を犠牲にすることもなかったです。中学生の娘もたまに「家族で出かけられなくなった」と言っていたようですが、倅が散ドラに入るまでは、遊びや習い事など娘中心で動き、倅もそれに付きあわせていましたから、ちょうど辻褄があった感じです。そして、幸か不幸か、休みが土日ではなく、平日と日曜なので、最低でも一日は家庭のことに充てられます。しかし、この掲示板を読んで自戒とは少し違いますが、怖いなあとも思いましたし、十分に注意しようとも思いました。もちろん、野球を控えるということではなく、カミさんや家族とのコミュニケーションをしっかりとろうということです。
しかし、私のような何ちゃってコーチはともかく、監督をしている人の大半は、頼まれて引き受け、真面目に責任感をもってやっている方々ばかりです。子ども相手に絶対君主になっているような人も中にはいるかもしれませんが、多くの人は違います。たぶん全くの門外漢なのでしょうが、そんな風に思っている人がいるのは残念ですね。