著者等紹介
日下雅義[クサカマサヨシ]
1934年徳島県生まれ。立命館大学大学院文学研究科修士課程修了。立命館大学名誉教授。文学博士
出版社内容情報
自然と人間は大地を変える。『記紀』の「水門」「潟」「大溝」「津」とは? 古日本の姿を、地理・考古・歴史学を総動員して復原する自然と人間によって、大地は姿を変える
『記紀』『万葉集』に登場する「水門」「潟」「大溝」「津」とは?
古日本の姿を、地理学・考古学・歴史学を総動員して復原する
「地震」「水害」「火山」「雷」「大風」……。『記紀』に描かれた数多の自然現象とその災害の実態とは? 「浦」「江」「潟」「岸」「潮」「浜」……。『万葉集』に謳われた風光明媚な景を現在と比較すると? 「古墳」「池」「溝」「津」「水門」、人為は景観をどう変えたのか? 空中写真、地形図、遺構・遺跡、史料を突き合わせ、失われた古代日本を大胆に復原する。
……環濠とシュートバー(埋没礫堆)の調査では、あらかじめ用意した地形分類予察図、空中写真、検土杖(けんどじょう)などを持って現地に出かけ、発掘現場の露頭観察や検土杖による地質調査に汗を流し、(中略)広くて傾斜の緩やかな地域では地形図、空中写真、折れ尺などを手に、黙々とペダルを踏んだ。自転車は、平野の微起伏をとらえるのに、とても都合がよかった。(中略)私は地形環境と人間活動との関係を、かなりながい時間軸でとらえるという方法を、頑(かたくな)にとり続けてきた――<「学術文庫版まえがき」より>
※本書の原本『古代景観の復原』は、1991年に中央公論社より刊行されました。
学術文庫版まえがき
第一章 景観の復原と遺跡――はじめに
1 景観をとらえる
2 地下からの情報
第二章 大地は変わる
1 マクロからミクロへ
2 日本の古代を中心に
第三章 『記紀』『万葉集』に自然の景をよむ
1 「水門」と「岸」
2 潮の流れと生活
第四章 生活の場を復原する
1 水を求め水を避ける
2 マウンドをつくって耐える
3 ナイルデルタの「コム」
4 三角屋敷と盛土集落
第五章 生産の場を復原する
1 灌漑のおこり
2 初期の大溝「裂田溝」
3 「針魚大溝」のルートを探る
4 「依網池」のナゾ
5 狭山池と除げ
第六章 消費の場を復原する
1 港の原風景
2 紀伊水門と和歌浦
3 住吉津と津に至る道
4 難波津の位置をめぐって
5 「難波堀江」開削の目的と時期
6 人工港「難波津」の成立
第七章 景観の形成と古代――むすびにかえて
あとがき