村上春樹のエッセイはわりと好きでよく読んだのだが、小説となると、大学生の頃に赤と緑のハードカバーが話題になった『ノルウェイの森』を、友だちに借りて、読んだきりである。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は、やはり大学生の頃、別の友だちに何故かプレゼントしてもらったのだが、今に至るまで読んでいない。
この間、CSで『風の歌を聴け』(大森一樹、1981年)を録画したので、観る前に、図書館で借りてきた小説も読んだ。村上春樹の文章は、空気も間合いも絶妙で、現在形であっても<ノスタルジイ>が付きまとっていて、それなりに心に浮遊して残る。映画をさっき観たら、印象がさらにどこかに浮遊していってしまった。
主人公が、とても大学生に見えない小林薫ということは置いておくとして。友人の<鼠>が巻上公一。<彼女>が真行寺君枝(何でも、村上春樹が真行寺君枝のファンだったとか)。昔の<彼女>が室井滋(映画デビュー)。バーのマスターが坂田明。音楽担当が千野秀一で、浅川マキが挿入されていて、8ミリの映像も使われていて、ATGで、面白がる条件はそれなりに揃っている。でも別に・・・。
村上春樹は紙とテキストでこそ魅力的な面があるのかな。よくわからない。
kakko