別に集めるつもりでもないが、ジャズの写真集は何冊も持っている。そのなかで、エド・ファン・デア・エルスケン(Ed van der Elsken)の『ジャズ』は、特に有名な作品のひとつだろう。
1955年から61年にかけて撮られた写真群である。ハードバップ全盛期、伝説的な音楽家たちの若い頃が記録されている。私の持っているのは、アムスで1991年に再発されたものらしい。神田小川町の源喜堂書店で何年か前に見つけて買った。何度も観ていたら、背表紙が取れてぼろぼろになってしまった。
手ブレも何のその、おそらくとても増感したり一部のみのトリミングをしたために粒子が目立っており、これがドキュメントとしての迫力を増している。また、音楽家たちの良い表情を捉えている。大先輩レスター・ヤングに尊敬のまなざしを向けるマイルス・デイヴィス。どうだと言わんばかりのオスカー・ピーターソン。感極まったサラ・ヴォーン。きりの無い世界に没入し続けるジョン・コルトレーン。塩っ辛いテナーの音を汗だくで吹くコールマン・ホーキンス。黒ぶちメガネでおそらく自在にインプロヴィゼーションを展開していたであろうソニー・ロリンズの風格。悠々としたジミー・ラッシング。
何のカメラで撮ったのかわからないが、自分の反射する姿を撮ったローライではなく、35mmだろうと思う。エルスケンが使っていたライカM3(→リンク)は1954年に発売されたばかりであり、現在、地震学者の島村英紀氏が所有する遺品のシリアル番号を見ても、初期の頃のもののようだ。(私も地震研究所に所属していたことがあり、島村氏の名前は当然知っていたが、このようなカメラマニアだとは思わなかった。)
自分もこんな写真を撮ってプリントしたいなと妄想する。
レスター・ヤングとマイルス・デイヴィス
オスカー・ピーターソン
サラ・ヴォーン
ソニー・ロリンズ
ジョン・コルトレーン
ジョン・コルトレーンとエリック・ドルフィー
コールマン・ホーキンス
ジミー・ラッシング