Sightsong

自縄自縛日記

魯迅の家(3) 上海の晩年の家、魯迅紀念館、内山書店跡

2010-07-27 22:57:32 | 中国・台湾


魯迅故居 PENTAX MX、M35mmF2.0、Tri-X、ケントメアRC、2号フィルタ

2010年5月、所用で上海に赴いたついでに、時間をみつけて、魯迅紀念館魯迅の故居に足を運んだ。魯迅紀念館は魯迅公園の中にある。公園では社交ダンスの公開練習のようなことをしていた。

紀念館の中には、当然ながら、自筆原稿や当時出版された本などが展示してある。『狂人日記』も、『藤野先生』も、『朝花夕拾』も、あった。


『狂人日記』


『朝花夕拾』


『藤野先生』

北京魯迅博物館と同様に、魯迅のデスマスクもある。そして、近くにあった内山書店を模したモデル(出来はあまり良くない)や、内山完造の胸像が飾られている。もちろん面白くはあるが、北京魯迅博物館の方が細やかな思いが行きとどいていたように思った。


魯迅のデスマスク


内山書店のつもり

観終わって出ようとしたら、館の人に、キャンペーン中だからクイズに答えないかと誘われた。座ったはいいが、クイズはすべて中国語、まるで解らない。その人が猛烈な早口で解説してくれて、何だかよくわからないままに丸をたくさん付けた。「万博で有名人に出くわしたら、どうするのが正しいですか? 1・指さして大声で騒ぐ、2・気が付かないふりをする、・・・」といったようなクイズだ。適当に当たっていて、景品に魯迅のキーホルダーを貰った。これでささやかな魯迅グッズがひとつ増えた(笑)。終わってから、写真を撮るからクイズに記入しているポーズを取ってくれと言われ、重厚な演技で応えた。たぶんノルマでもあるのだろうね。

公園を出て、歩いて故居に向かう。探し当てたら、そこは長屋だった。料金を払って3階まで見学したが(解説付き)、あまり面白くはなかった。これも比較すれば、北京の四合院の方が断然見どころがある。

近くに内山書店の跡があるはずだけど、と故居の男に訊ねると、道を教えてくれた。確かにそこにあり、銀行となっていた。1階の壁には、それを示す石板が貼ってあった。少し微妙な日本語でも書いてある。

「内山書店は日本の有名な社会活動家である内山完造が1917年に創立された進歩した書店である。最初の住所は北四川路魏盛里にあり、1929年に現在の住所に引っ越した。二十世紀30年代の内山書店は上海左翼進歩系書籍の主な売店であり、中日の進歩的文化人の集まった場所でもあった。魯迅、郭沫若、田漢、郁達夫、塚本助太郎、昇屋治三郎、石井政吉などの中日の有名な文化人はこの書店との繋がりが深かった。同時に、内山書店は中国共産党と進歩した人々との連絡場所でもあり、魯迅、許広平、夏丐尊などの愛国的文化人を救助したことがある。1980年8月26日に「内山書店」は上海政府により、上海市記念地と命名された。」


内山書店跡 PENTAX MX、M35mmF2.0、Tri-X、ケントメアRC、2号フィルタ

●参照
魯迅の家(1) 北京魯迅博物館
魯迅の家(2) 虎の尾
魯迅グッズ
丸山昇『魯迅』
魯迅『朝花夕拾』
井上ひさし『シャンハイムーン』 魯迅と内山書店
2010年5月、上海の社交ダンス