休暇呆けのテンションを無理やり高めるため、『The Jazz Composer's Orchestra』(JCOA/ECM、1968年)を聴く。73分強、浴びるように。
ジャケットにある名前はメンバーのごく一部だけである。ドン・チェリーとガトー・バルビエリの哀愁、ギャイインと異空間をこじ開けるラリー・コリエル、端正らしく聴こえる(じつは違う)スティーヴ・スワロウのベース導入、超人セシル・テイラー、野獣ファラオ・サンダース、その他にもスティーヴ・レイシー、ルー・タバキン、ハワード・ジョンソン、カーラ・ブレイ、レジー・ワークマン、チャーリー・ヘイデン、ビーヴァー・ハリス、アンドリュー・シリル、アラン・シルヴァ、ラズウェル・ラッド、ジミー・ライオンズ、もう書ききれない。よくこんなに集めたね。
「Preview」と題された短い演奏では、最初から最後までファラオ・サンダースのテナーサックスが咆哮する。その他の演奏はすべて「Communication」と題されており、混沌のなかで個の見せ場が作られる。なかでも凄いのは後半30分強に登場するセシル・テイラーであり、他を圧倒しながらのコミュニケーションという矛盾を体現している。アンドリュー・シリルのバスドラムとシンバルワークも存在感がある。
如何な個性であろうと、混在する場と主張する場とが、その時その時で拓かれている。はじめて聴いたときにはやかましいとしか思わなかったが、いまではロマンチックにすら感じられる。
実際の社会やコミュニケーションもこんな風だったらいいのに。
●参照
○セシル・テイラーのブラックセイントとソウルノートの5枚組ボックスセット
○イマジン・ザ・サウンド(セシル・テイラーの映像)
○ドン・チェリーの『Live at the Cafe Monmartre 1966』とESPサンプラー
○カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ