Sightsong

自縄自縛日記

北井一夫『西班牙の夜』

2011-01-29 23:45:21 | 写真

ギャラリー冬青に足を運び、北井一夫写真展『西班牙の夜』を観た。最終日ぎりぎり、間に合った。

ギャラリーに入るなり、北井さんに「豊里さんの写真はさぁ、」と始められて吃驚。これまでの経緯が印象的だったのか。やはり、政治を前面に押し出したものよりも良い写真がいくつもあるのに惜しい、俳句集なんて面白くてあんな世界が出せるはずなのに、とのことだった。

1978年、スペイン。北井さんにしては珍しいカラー作品であり、他には『信濃遊行』、『フランス放浪』、『英雄伝説アントニオ猪木』があるのみ。石畳が濡れたバルセロナの夜の街、マドリッドのフラメンコ、それから飲み屋。三脚を立てて撮られた写真が、人いきれの喧騒が静まった後の息を潜めた街角の空気を封じ込めていて、あまりにも人間くさい。

北井さんによると、ライカM5にズミルックス35mmF1.4開放、コダクローム64。飲み屋は三脚を使わず手持ちで撮られたという。

「64で飲み屋で手持ちなんて凄いですね。」「プロですから。(笑)」

写真展にあわせて出版された写真集『西班牙の夜』(冬青社、2011年)に署名をいただく。プリントに比べればドライであり、これは仕方ないところではあるが、しかし印刷は素晴らしい。何と言っても、身もだえするコダクロームの色である。台湾の印刷会社の仕事であり、先日、北京のZen Foto Galleryで北井さんの写真展が行われ(そのタイミングでは北京に行けなかったが、渋谷の同ギャラリーでの作品と同じ)、その帰路に台湾に立ちよってあれこれと打ち合わせをしてきたらしい。

今後の北井一夫写真展情報。

●下北半島で撮ったモノクロ写真群(2011年夏?) Zen Foto Gallery
●『Walking with Leica 3』(2012年1月) ギャラリー冬青
●1965年、神戸の港湾労働者を撮った未発表写真群(2013年) ギャラリー冬青
●『(内緒だが北井一夫の代表作)』カラー版!(2014年?) ギャラリー冬青

●参照 北井一夫
『ドイツ表現派1920年代の旅』
『境川の人々』
『フナバシストーリー』
『Walking with Leica』、『英雄伝説アントニオ猪木』
『Walking with Leica 2』
『1973 中国』
中里和人展「風景ノ境界 1983-2010」+北井一夫
豊里友行『沖縄1999-2010』