気がついたら、ラルフ・ピーターソンの新作『Outer Reaches』(Onyx Music、2010年)が出てしばらく経っていた。日本では「Somethin' Else」レーベルの諸作で一時期だけ持てはやされた存在ではあるが、その後のフォテットというグループの作品はシャープで、結構好きなのだ。
Ralph Peterson (ds, tp)
Josh Evans (tp)
Jovan Alexandre (ts)
Pat Bianchi (org)
David Fiuczynski (g)(2曲のみ)
ドラムス、二管にオルガンなんてイイじゃないか、などと思いつつ聴いた。1曲目はウディ・ショウの曲「The Moontrane」、2曲目はモンク曲「Monk's Dream」。何かおかしい、特に後者なんてラリー・ヤング『Unity』(Blue Note、1965年)とまるで同じじゃないか。この2曲だけでなく、やはりショウの曲「Zoltan」と「Beyond All Limits」も共通。
実はグループ名は「Unity Project」であり、まさに『Unity』へのオマージュなのだった。とは言っても、かなりテーマの展開は同じような演奏であり、アドリブになっても本家よりも冴えない。だって、ウディ・ショウ、ジョー・ヘンダーソン、ラリー・ヤング、エルヴィン・ジョーンズなんてそれぞれ唯一無二の個性ばかりであり、真似する時点で勝負はついている。
Larry Young (org)
Woody Shaw (tp)
Joe Henderson (ts)
Elvin Jones (ds)
さらに追い打ちをかけるように、最後の曲「Spectrum」を聴いて耳を疑う。これは、トニー・ウィリアムス・ライフタイム『Emergency』(Polydor、1969年)での同曲の演奏と激しくかぶる。もちろんアドリブになると違うが・・・、この後言いたいことは同じ。まあ、これも元々ラリー・ヤングがオルガンを弾いている。
結論、ココロザシ皆無。フォテットのような好きな演奏では、ラルフ・ピーターソンの攻める一方の人間扇風機・トマソンぶりも嬉しく聴いていられるのだが、こうなると腹立たしい。おっさん、おっさん、あんたがコピーバンドをやってどうするのか。