バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(Travessia、2012年)を聴く。恐るべし、齋藤徹さんによる、コントラバスのみのグループ「ベースアンサンブル弦311」に、巨匠バール・フィリップスを迎えた演奏であり、昨年10月の来日時に録音されている。
ライナー裏面のバール・フィリップスのポートレート写真として、わたしが1998年頃に撮ったものを使っていただいたこともあり、早速1枚送られてきた。(ありがとうございます。)
Barre Phillips、齋藤徹、田嶋真佐雄、瀬尾高志、田辺和弘、Pearl Alexander (b)
6本のベースが発する音の集合体は、実に鮮やかでカラフルだ。さまざまな音色が創出されては彼方へ消えてゆき、その残滓の数々が大きなイメージを描いている。
いちどだけ、バール氏抜きの、このベースアンサンブルを聴いたことがある(>> リンク)。そのときは、黒潮のイメージとともに、人間の大きな音楽だと感じたのだった。
瀬尾高志氏のブログによれば、「E♭のスコラダトゥーラ(変則チューニング)、最低音(最低弦を更に低くする)から最高音(バイオリン以上)の音響もあり・・・」とある(>> リンク)。残念ながら、ただのいちどもコントラバスに触ったことがないわたしには、それを実感できる能力がないのだが、各人が工夫を凝らして即興に臨んでいることはわかるような気がする。このライヴに居合わせたかった。
絵でいうなら、イメージの洪水だとしても、今井俊満や白髪一雄のような混沌の奔流ではなく、松井守男のように、ひとつひとつの音が独立して躍っているような感覚か。吸い込まれそうだ。
バール・フィリップス、ナルシス(98年頃?) Pentax MZ-3、FA 28mm/f2.8、プロビア400、ダイレクトプリント
●参照
○バール・フィリップス@歌舞伎町ナルシス
○バール・フィリップスの映像『Live in Vienna』
○齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』、バール・フィリップス+今井和雄『プレイエム・アズ・ゼイ・フォール』
○リー・コニッツ+今井和雄『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、バール・フィリップス+今井和雄『プレイエム・アズ・ゼイ・フォール』
○歌舞伎町ナルシスでのバール・フィリップス
○ミッシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐
○齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」
○齋藤徹、2009年5月、東中野
○齋藤徹「オンバク・ヒタム」(黒潮)
○久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、イザイホーを利用した池澤夏樹『眠る女』、八重山で演奏された齋藤徹『パナリ』
○往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』
○ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm
○ユーラシアン・エコーズ、金石出