Sightsong

自縄自縛日記

ペーター・コヴァルト+ヴィニー・ゴリア『Mythology』

2013-12-07 23:10:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

ペーター・コヴァルト+ヴィニー・ゴリア『Mythology』(kadima collective、2000年)を聴く。

Peter Kowald (b)
Vinny Golia (woodwinds)

ペーター・コヴァルトのベースを、わたしは勝手に絹の音だと思っている。ゆったりと構えているときも、激しくスピーディなアタックをみせるときも、いつも、まるで弦が無数の絹で出来ているような印象を受ける。

ここでも、ヴィニー・ゴリアがクラリネット、バスクラ、フルート、サックスと、木管楽器を持ち替えては繰り出すさまざまな音色を受けて、絹の音で相対する。素晴らしいと思う。

ゴリアはマルチ・インストルメンタリストとして活動している人なのだろうか。ヴェテランのようだが、この盤ではじめて演奏を聴いた。まだ、個性をつかめないでいる。

●参照
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ
A.R.ペンクのアートによるフランク・ライト『Run with the Cowboys』コヴァルト参加)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(コヴァルトのインタビュー)
横井一江『アヴァンギャルド・ジャズ ヨーロッパ・フリーの軌跡』


宇崎真、渡辺也寸志『テレサ・テンの真実』

2013-12-07 19:25:56 | ポップス

八重洲の古本屋で見つけ、衝動的に、宇崎真・渡辺也寸志『テレサ・テンの真実』(徳間書店、1996年)を買って読んでしまう。

テレサ・テン、本名・鄧麗君が、タイのチェンマイで急死したのは1995年のこと。まだ42歳の若すぎる死だった。あまりにも唐突だったこともあり、暗殺説やエイズ説までもが流れた。

知らなかったが、テレサの死をめぐる謎について、TBSのテレビ番組が同年に放送されたらしい。本書は、その取材をもとにして書かれている。したがって、展開はあまりにもテレビ的であり、「次にわれわれはここに飛んだ、じゃじゃーん」といったつくり。いま読むにはちょっと辛い。

内容も中途半端な憶測にとどまっている。曰く、テレサは台湾のスパイであった。テレサの両親は国民党であったため中国本土から台湾に渡った「外省人」だったのだが、同様に、チェンマイにも中国から逃れた人々がいた。テレサが喘息の療養には適していないチェンマイに通ったのはそのためである―――と。しかし、そこで何をしたのかにはまったく触れられていない。

もっとも、目くじらを立てるほどのことでもない。アジアの歌姫、鄧麗君をまた聴こうという気にさせてくれたのでよしとする。

●参照
私の家は山の向こう
私の家は山の向こう(2)
楊逸『時が滲む朝』