ホルヘ・サンヒネス『ウカマウ』(1966年)を観る。ボリビアの映画製作グループ「ウカマウ集団」によっていくつかの映画が撮られてはいたものの、本作がボリビア初めての長編映画である。
小作農は、ジャガイモや魚を地主に買い取ってもらう。そこには圧倒的な生活水準の差と権力関係がある。ある日、地主は、小作農が自分のところに作物を納めずに町の市場に出かけたことを知る。地主は立腹し、さらには欲望に衝かれ、小作農の妻を暴行し、殺してしまう。町から帰ってきた小作農は死ぬ間際の妻から犯人の名前を知るが、彼はそれを隠す。地主は不安に憑かれ、贖罪の餅を口にしたり、精神のバランスを崩した言動を行うようになる。そして、地主がひとり鉱山に出かける機会が訪れる。小作農は追いかけ、復讐する。
権力関係の実態を晒そうとした映画なのだろうか。初長編にもかかわらず、サンヒネスの手腕は確かであり、クローズアップとカットバックが効果的。生活の手仕事、こちらを凝視する視線も印象的。
サンヒネスの新作『叛乱者たち』の日本公開はまだだろうか。モラレス政権のもと、サンヒネスは、どのような世界を見せようとしているのだろう。
●参照
○ウカマウ集団の映画(1) ホルヘ・サンヒネス『落盤』、『コンドルの血』
○ウカマウ集団の映画(2) ホルヘ・サンヒネス『第一の敵』
○ウカマウ集団の映画(3) ホルヘ・サンヒネス『地下の民』