ジョン・カサヴェテス『ラヴ・ストリームス』(1984年)を再見する。
1993年頃にはじめて観たときには、殴られたようなショックを覚えた。その後、海外版VHSを入手して大事にもっていたものの、やはり、耐えられずDVDを入手してしまった。
享楽的に生きる弟。離婚して傷つき、心が平衡を保てなくなって弟を頼ってきた姉。ふたりとも希求し、そのために得られないものが愛なのだった。
夜の光のなかで、孤独に耐え、揺れ動くふたりの姿を撮るカメラが素晴らしい。もしかしたら人間の幹こそが孤独であって、目を開けている間の活動なんてすべて誤作動に過ぎないのではないか、とさえ思わせられる。愛を得られないがための狂気など、たかが、誤作動のひとつである。
百年経ってもこの映画の光と闇はまったく損なわれないだろう。
●参照
○ジョン・カサヴェテス『こわれゆく女』(1974年)
○ジョン・カサヴェテス『グロリア』(1980年)
○ACT SEIGEI-THEATERのカサヴェテス映画祭