Sightsong

自縄自縛日記

中藤毅彦『STREET RAMBLER』

2015-01-17 23:29:16 | 写真

渋谷のギャラリールデコに足を運び、中藤毅彦さんの写真展『STREET RAMBLER』を観る。

東京、ベルリン、モスクワ、サンクトペテルブルグ、ハバナ、上海、ニューヨーク、パリ。会場には、氏がさまざまな都市でざっくりと切り取ったスナップが展示されている。これまでに観た作品もある(写真集『パリ』は素晴らしかった)。

すべて高感度のモノクロで撮影された写真群は、銀塩のざらつきとぎらつきとが相まって、こちらに迫りくる力を持っている(それは誰にも否定できないだろう)。もちろん写真のマチエールだけによる迫力ではない。被写体の内臓にまで肉薄する覚悟のようなものも否応なく感じさせられるのである。

中藤氏はよく森山大道の後継者的に評価されることがあるが、共通するのは、都市の彷徨と、モノクロの粒子感くらいのものだ。被写体へのアプローチも写真の放つ力の種類もまるで異なるものだと思う。

●参照
中藤毅彦『Paris 1996』
中里和人『光ノ気圏』、中藤毅彦『ストリート・ランブラー』、八尋伸、星玄人、瀬戸正人、小松透、安掛正仁
須田一政『凪の片』、『写真のエステ』、牛腸茂雄『こども』、『SAVE THE FILM』
中藤毅彦、森山大道、村上修一と王子直紀のトカラ、金村修、ジョン・ルーリー


ミルフォード・グレイヴス+ビル・ラズウェル『Space / Time * Redemption』

2015-01-17 07:57:59 | アヴァンギャルド・ジャズ

ミルフォード・グレイヴス+ビル・ラズウェル『Space / Time * Redemption』(TUM Records、2013年)を何度も聴いている。

Milford Graves (ds, perc)
Bill Laswell (b)

あっと声を出してしまうほど意表を突いた組み合わせ。グレイヴスがアンソニー・ブラクストン、ウィリアム・パーカーと組んだ『Beyond Quantum』も衝撃的だったが、そのときの仕掛け人は、このビル・ラズウェルだったという。名前が演奏スタイルの代名詞になるような音楽家たちを組ませるというのは、異種格闘技戦に似た興奮がある。

ラズウェルによる電気音楽は、聴き手を置いてけぼりにして妙に壮大な宇宙のヴィジョンを展開する。しかも、それは「かつて見た未来」のようで、テンションが無理やり励起されながらも哀しい気持ちになってしまう(否定的な意味ではなく)。

それに対して、登場以来、アフリカ回帰を演奏に取り入れることを意識していたであろうグレイヴスのタイコ。かつての荒々しさは無いのかもしれないが、演奏はやはりこの人だけのスタイルなのであり、巨大な異物ぶりは永遠に健在なのだった。

●参照
ブラクストン、グレイヴス、パーカー『Beyond Quantum』
ローウェル・デヴィッドソン(グレイヴス参加)
デイヴィッド・マレイ『Saxophone Man』(グレイヴス参加)
『Improvised Music New York 1981』(ラズウェル参加)
デレク・ベイリー+トニー・ウィリアムス+ビル・ラズウェル『The Last Wave』