Sightsong

自縄自縛日記

浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』

2015-01-20 07:24:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(東芝EMI、1980年)。

以前はさほど多く見かけるLPレコードでもなくて、わたしも90年代の終わりころに必死になって探して手に入れ、大事に持っている。数年前に浅川マキの旧作品の多くがCD化されたとき、何となく意識しないようにしてしまい、時間が経ってしまった。亡くなったあとすぐには聴く気にならないのだった。

浅川マキ (vo)
渋谷毅 (p)
川端民生 (b)
トニー・木庭 (ds)
杉本喜代志 (g)
坂田明 (as)

あらためてCDで聴いてみると、LPにあったリアルさが希薄になっているような気がしてならないのは思い入れが強いためか。

それはともかく、何度リピートしてもすべてが迫ってくる。マキさんの微妙なビブラートや、歌いながら口蓋内と喉を歪めてよれていく声、ささやき。凄まじい強度の諦めと悦び。こんな歌手はいなかった。

それに加え、「ボロと古鉄」における坂田明のアルトソロは最高のもののひとつだし(これもLPのほうが断然良いのだが)、もちろん渋谷毅も杉本喜代志も川端民生も。「ふしあわせという名の猫」で締めくくられると、ノーコメントで自分の中に閉じ込めたくなる。

●参照
浅川マキの新旧オフィシャル本
『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -bootlegg- 』
『ちょっと長い関係のブルース 君は浅川マキを聴いたか』
浅川マキが亡くなった(2010年)
浅川マキ DARKNESS完結
ハン・ベニンク キヤノン50mm/f1.8(浅川マキとの共演、2002年)
浅川マキ『闇の中に置き去りにして』(1998年)
浅川マキ『アメリカの夜』(1986年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
浅川マキ『幻の男たち』 1984年の映像
オルトフォンのカートリッジに交換した(『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏者たちのOKをもらった』、1980年)
『恐怖劇場アンバランス』の「夜が明けたら」、浅川マキ(1973年)
宮澤昭『野百合』