気が向いて、アルバート・マンゲルスドルフを聴いている。実は、昔、新宿DUGでのライヴ盤(1971年)に馴染めずいまに至るのだが、それも美味しいものを逃してきたような気がして。
■ 『A Jazz Tune I Hope』(MPS、1978年)
Albert Mangelsdorff (tb)
Wolfgang Dauner (p)
Eddie Gomez (b)
Elvin Jones (ds)
また聴いてみようと思ったのは、エルヴィン・ジョーンズの参加によるところが大きいのだが、やはり期待以上のプレイだった。ん、どどっ、と、ボディのあらゆる箇所を叩かれ続ける感がエルヴィンならではだ。しかも油断して弛緩した部分に。
マンゲルスドルフはといえば、確かに大変なレベルのテクニシャンだったのだなと強く思い知らされる。吹きながらの肉声の混入も含めて、実に多彩な音色の群れなのだ。
編成はカルテットだが、1曲おきに、ピアノ、ドラムス、ベースそれぞれとのデュオで演奏される。それはそれで愉しいのだが、やはり全員がそろって、エルヴィンの鞭で泡を吹くくらいに煽られて演奏するほうがカラフルだ。(エディ・ゴメスのダサいベースはさほど気にならない。)
■ リー・コニッツとの『Art of the Duo』(Enja、1983年)
Albert Mangelsdorff (tb)
Lee Konitz (as)
こんな興味深いデュオがあることを知らなかった。これは変態の室内楽だ。
マンゲルスドルフのテクはここでも鮮やか。これに、まだふくよかに変貌しきる前のコニッツのアルトサックスが絡む(このセッションの数年前に吹きこまれたギル・エヴァンスとの演奏では、もっとエアが入っていたような)。緊張感が漂っているようでいて、あるいはリラックスしているようでもあって、何とも不思議。このふたりには、演奏しながらどのような時間が流れていたのだろう。
●参照
リー・コニッツ『Jazz at Storyville』、『In Harvard Square』
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』
ギル・エヴァンス+リー・コニッツ『Heroes & Anti-Heroes』
リー・コニッツ+ルディ・マハール『俳句』
今井和雄トリオ@なってるハウス、徹の部屋@ポレポレ坐(リー・コニッツ『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』)
ジャズ的写真集(2) 中平穂積『JAZZ GIANTS 1961-2002』