トリオ3+ジェイソン・モラン『Refraction - Breakin' Glass』(Intakt、2012年)を聴く。
Trio 3:
Reggie Workman (b)
Oliver Lake (as, ss, voice)
Andrew Cyrille (ds, voice)
+
Jason Moran (p)
「トリオ3」は、オリヴァー・レイク、アンドリュー・シリル、レジー・ワークマンという「レジェンド3人衆」によるスーパー・グループである。しかし、第一作『Live in Willisau』(1992年)が出た当時聴いてピンと来ず、やがて手放してしまった。
オリヴァー・レイクのアルトサックスが好みの音でなかったことが、ひとえにその理由だった。何だか息が「んぐっ」とそのあたりで詰まっているようで、また、サックスのマウスピースのハードラバーに歯がこすれるような嫌な感覚もあった。『ジョーズ』において、ロイ・シャイダーが黒板をひっかいて皆を黙らせる、あの感じ。
そんなわけで、レイクのリーダー作もすべて手元から消えてしまったのだが、気にはなっていたのである。特にトリオ3では、最近、イレーネ・シュヴァイツァー、ジェリ・アレン、ジェイソン・モラン、ヴィジェイ・アイヤーと、新たな生き血をすするようにピアニストをゲストに起用し続けており興味津々。そんなわけで、ジェイソン・モラン参加作を入手した。
もちろん、中庸な音のワークマンも、キレキレに薄く鋭く砥がれた刃物のようなシリルも良い。そして、確かに、変なカオスが内奥で渦巻いているようなレイクの音には、硬質な響きを持つピアニストが向いているのかなととらえた。また、ピアノが刺激剤として機能しているというだけでなく、レイクのサックスも別のイメージを抱きながら聴くと良いものだと感じ始めることができた。自らの内臓に向けてもぐり続けるような音色?何をいまさら。
●参照
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard
US FREE 『Fish Stories』(シリル参加)
アンドリュー・シリル『Duology』
アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』
アンドリュー・シリル『Special People』
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』(シリル参加)
レジー・ワークマン『Summit Conference』、『Cerebral Caverns』
『苦悩の人々』再演(レイク参加)
ワールド・サキソフォン・カルテット『Yes We Can』(レイク参加)