ミシェル・ドネダ『Everybody Digs Michel Doneda』(Relative Pitch、2013年)を聴く。
Michel Doneda (ss)
ジャズファンならばジャケットを見てニヤリとするだろう。いうまでもなく、『Everybody Digs Bill Evans』のパクリである。そしてここに寄せられているエヴァン・パーカー、ジョン・ブッチャー、デイヴ・リーブマンらの賛辞もまた楽しい。
これはドネダのソプラノ・サックスによる完全ソロである。この人のサックスは、文字通り、誰にも似ていない。擦音のなかから浮かび上がっては消える響きと息遣い。それはそのまま、霧と靄の向こう側に見え隠れする草、樹々、生物、無機物、幻影を体現したものとなっている。
息を潜めてドネダの発する音を聴ていると、こちらの息とドネダの息とがときに重なり合うのを感じる。それがドネダを聴くということである。
●参照
ミシェル・ドネダ『OGOOUE-OGOWAY』(1994年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)