前々からビョークを聴いてきた人ならば1作ずつ受け止め、玩味してゆっくりと自分の評価を形作っていくところだろうが、わたしの場合は、駆け足で順に聴いている。それゆえなのかどうか、『Volta』(2007年)に至り、少しウンザリしてきた。そのあとの『Biophilia』(2011年)もまた同様。
手作り感が姿を消し、湧き上がるものも希薄になり、その一方でイビツに壮大な世界を示されると、ちょっと引いてしまうのだ。歌声の個性もこれでは台無しだ(・・・言い過ぎか)。せっかくの旨い食材をごてごてとした贅沢な料理にされたような気分。
気分を変えようと、レイクシア・ベンジャミンのノリノリジャズをかけたところ、実にホッとしてしまった。
最新作はどうだろうね。
●参照
ビョーク『Gling-Glo』、『Debut』
ビョーク『Post』、『Homogenic』
ビョーク『Vespertine』、『Medulla』