Sightsong

自縄自縛日記

トリオ3@Village Vanguard

2015-03-30 22:19:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

The Stoneから30分くらい歩き、Village Vanguardに到着。

Trio 3:
Oliver Lake (as)
Reggie Workman (b)
Andrew Cyrille (ds)

そんなわけで大変期待して臨んだライヴだった。何しろレジェンドが3人である。

しかし、結果から言えば期待外れだった。オリヴァー・レイクのどこかが詰まっているようなアルトは思った通りの音だが、それ以上に内奥を抉るようなものではなかった。レジー・ワークマンのベースも、自身のグループにおいて同時にいろいろの音を出して音楽をドライヴする様子を思わせる瞬間も無くはなかったが、それだけ。最近のトリオ3がピアノを入れていることには理由があった、のである。

アンドリュー・シリルが昨年同様キレキレのドラムスを聴かせてくれたのは嬉しかった。

●参照
トリオ3+ジェイソン・モラン『Refraction - Breakin' Glass』
ビル・マッケンリー+アンドリュー・シリル@Village Vanguard
US FREE 『Fish Stories』(シリル参加)
アンドリュー・シリル『Duology』
アンドリュー・シリル+グレッグ・オズビー『Low Blue Flame』
アンドリュー・シリル『Special People』
ビリー・バング+サン・ラ『A Tribute to Stuff Smith』(シリル参加)
レジー・ワークマン『Summit Conference』、『Cerebral Caverns』
『苦悩の人々』再演(レイク参加)
ワールド・サキソフォン・カルテット『Yes We Can』(レイク参加)


マイラ・メルフォード+マーティ・アーリック@The Stone

2015-03-30 21:35:21 | アヴァンギャルド・ジャズ

前日に続き、The Stone。20分前に着いてみると、寒い中、もう10人くらいが開場を待っている。

Myra Melford (p)
Marty Ehrlich (as, cl)

もう長いこと一緒に演奏しているふたりのデュオである。(ところで、調べてみると、アーリックは今年で60歳になる。ビックリだ)

アーリックのサックスもクラリネットも、意外なほどエアを含んでいる。尖っていてかつ豊かな音の秘密はそれか。ユーモアもある。

メルフォードのピアノはいつも通り透明感があり、アグレッシブで、ときにブルージー。前日の「Snowy Egret」のようなグループでは緊密さを追及し、ピアノトリオでは一体での盛り上がりを求めているように聞こえるが、それに対して、このデュオはよりルーズに、空間を空けているように思えた(前日と同じ曲「Kitchen」でもまさにその感覚)。そして会話を楽しみまくっている。

最後は、アンドリュー・ヒルの曲「Images of Time」で締めた。

これでThe Stoneでの5日間にわたるメルフォードの連続ライヴが終了。全部観たいくらいのラインナップである。ヴィデオ撮影をしていたし、何かの形でリリースしてくれると嬉しい。

2015/3/24 アリソン・ミラーとのデュオ、ニコール・ミッチェル、タイショーン・ソーリーとのトリオ
2015/3/25 ベン・ゴールドバーグとのデュオ、マサオカ・ミヤ、メアリー・ハルヴァーソンとのトリオ
2015/3/26 Crushカルテット、Be Breadセクステット
2015/3/27 Same River Twice
2015/3/28 Snowy Egret
2015/3/29 マーティ・アーリックとのデュオ、マイラ・メルフォード・トリオ

●参照
マイラ・メルフォード Snowy Egret @The Stone
マイラ・メルフォード『Snowy Egret』
マイラ・メルフォード『life carries me this way』
マイラ・メルフォード『Alive in the House of Saints』 HAT HUTのCDはすぐ劣化する?
『苦悩の人々』再演
ブッチ・モリス『Dust to Dust』


アンドリュー・ディアンジェロ@Downtown Music Gallery

2015-03-30 15:36:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

マンハッタン橋のたもとにあるDowntown Music Galleryに、アンドリュー・ディアンジェロのインストアライヴを観に足を運んだ(2015/3/29)。

事前にGoogle Mapのストリートビューで確かめようとしたのだが判らず、場所も半信半疑だった。実は地下に降りる階段の脇に看板があるだけだった。

Andrew D'Angelo (as)

ついでにCDを物色しようと思い1時間前に入ったところ、店主のブルース氏が「こっちが新品でこっちが中古・・・ところでそっちを持ち上げてくれ」と、ふたりでライヴ準備のため棚をずらす展開に。次第にどうみても好き者集団が形成されてきた(「ヘンリー・グライムスが・・・」などと、このような場所でしか聞こえない類の会話)。

ディアンジェロは、演奏の合間に、妙に精力的にお喋りをする。

「最近久しぶりにヴァイナル(Vinyl)を出したんだよ。いやヴァイナルって、LPとかレコードとか言えばいいんだけど。回転もいろいろあるだろ、33とか45とか、あと何だっけ」
(客)「78」
「そうそう。回転数を間違えてかける奴とかいるよな」

「知り合いが90歳になってさ。90歳!凄いことだよ。あんたたちの知り合いにいるか?」
(客)「ロイ・ヘインズも90歳だよ!」
「ああそうか、母にも教えとこう。やっぱり健康な生活をしないとな」
(客)「俺の親父はタバコのせいで癌になって亡くなったよ」
「それは誰が言ったのか。医者か?証拠があるのか?」
(客)「うーん、どうかな」
「他に何かネタはないか?あんたは?」

・・・いつ無茶振りをされるかと思ってハラハラした。

ディアンジェロのアルトは、渾身の力で吹き抜くものだ。まるで無理をして自分を鼓舞する者のダンスだ。楽器も聴く者の鼓膜も心臓もビリビリと震える。

やがてディアンジェロの顔は真っ赤になり、汗ばんできた。何というスタイルか。凄絶なものを聴かせてもらった。


サインをいただいた。いや、「Love!」って。

●参照
アンドリュー・ディアンジェロ『Morthana with Pride』


MOMAのビョーク展

2015-03-30 15:04:28 | ポップス

ビョークの展覧会がMOMA(ニューヨーク近代美術館)で開かれている。ちょうど最近ビョークを聴き始めて、ようやく新作にたどり着いたばかりと絶好のタイミング。いそいそと出かけた。

しかし、実は日曜日の午後。やたらと混んでいて、個々の作品についての展示の前に立ち、貸し出されるスマホのような機器で音声を聴くという展示コーナーには入れなかった(時間指定のチケットだけらしい)。

まずは、新作『Vulnicura』に収録されている「Black Lake」の映像。峡谷だか洞窟だか、ぬめぬめした場所で歌いまくるビョーク。さらに、それを抜けた上映室では「Bjork Cinema」として、過去の名曲のヴィデオ・クリップ。ソファーが設置してあって、みんなだらしなく腰かけたり寝っ転がったりして観ている。わたしも疲れていたので横になったらウトウトしてしまった。それでも長く、目を開けると叫び踊るビョークの姿。

強烈でお腹一杯、そのあと他の美術作品を観ようとしたら実につまらなかった。いや、凄いですね。

ところで、『Vulnicura』は随分気に入っているのだ。

●参照
ビョーク『Gling-Glo』、『Debut』
ビョーク『Post』、『Homogenic』
ビョーク『Vespertine』、『Medulla』
ビョーク『Volta』、『Biophilia』


ジョン・エイベア@The Cornelia Street Cafe

2015-03-30 00:45:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

The Stoneからしばらく歩き(地下鉄が不便)、さらにThe Cornelia Street Cafeに足を運んだ(2015/3/28)。2nd setまで間があって、1階のバーでしばしハイネケン。

John Hebert (b)
Dayna Stephens (bs, ts)
Michael Attias (bs, as)
Eric McPherson (ds)

演奏は「Without a Song」で始まり、あとはエイベアのオリジナル。エイベアのベースは、残響を効果的に利用するようなスタイルで、ロン・カーターを思わせる(弦がユルいという意味ではなく)。

そして目当てのデイナ・スティーブンス。バリトンもテナーも、その巨体とも関係するのだろうか、非常に懐が深く、悠然と剛速球が繰り出される感じ。かれのソロが始まると、音が脳を直撃して目が醒める。

マイケル・アティアスの音も緊密で良かったのだが、落ちがないソロで、終わってもみんな拍手を出しそびれていたりして。


デイナ・スティーブンス

●参照
デイナ・スティーブンス『Peace』


マイラ・メルフォード Snowy Egret @The Stone

2015-03-30 00:18:15 | アヴァンギャルド・ジャズ

昨年メアリー・ハルヴァーソンらを観たThe Stoneに足を運んだ。目当てはマイラ・メルフォードの新グループ「Snowy Egret」である。

ぎりぎりに到着すると、もう狭い会場は満員で立ち見。ジョン・ゾーンらしき人の姿も見えた。自分が入るとすぐに「Sold Out」と外に貼り出された。フォーなんか食っている場合じゃなかった、あぶないあぶない。

タイショーン・ソーリーが別のギグに出ていて(ミシェル・ローズウーマンのグループ)、今回のドラムスはテッド・プア。

Myra Melford (p, melodica)
Ron Miles (cor)
Liberty Ellman (g)
Stomu Takeishi (bass g)
Ted Poor (ds)

やや静かに始まったが、やがて、オリエンタルな旋律に乗って、キメキメでドラマチックな演奏へと盛り上がっていく。

メルフォードのピアノも、グループ全体のサウンドも、向こう側を透徹する清冽さが半端でない。ここでは、音楽の物語を語っていく役割は、ロン・マイルスのコルネットとリバティ・エルマンのギターであった。そして、ツトム・タケイシのベースはその流れに擾乱を与えるものだった。あまりにもファンタスティックで、途中で悶絶しそうになることしばしば。

1st setが終わってから、リバティ・エルマンと少し話をした。「日本にはラップ・バンドの一員として行ったよ。」「え?ラップ?」「いや何でか知らないよ!(笑)ギグを設定してよ!」


ツトム・タケイシ、リバティ・エルマン、テッド・プア


ロン・マイルス


メロディカを弾くメルフォード


リバティ・エルマン

●参照
マイラ・メルフォード『Snowy Egret』
マイラ・メルフォード『life carries me this way』
マイラ・メルフォード『Alive in the House of Saints』 HAT HUTのCDはすぐ劣化する?
『苦悩の人々』再演
ブッチ・モリス『Dust to Dust』
ロン・マイルス『Circuit Rider』