メテ・ラスムセン+タシ・ドルジ+タイラー・デーモン『To The Animal Kingdom』(Trost、2016年)を聴く。
Mette Rasmussen (as)
Tashi Dorji (g)
Tyler Damon (ds)
メテ・ラスムセンは細身の身体をまるで柔らかくも強い鋼のバネのように使い、アルトと一体化して、すさまじい圧の音を発する。2017年の来日時、とくに阿佐ヶ谷天での演奏はどうしても忘れられない。そのときメテさんは、その場で跳ねるバネからの轟音を放ち続けただけでなく、コヤのはじからはじまでカツカツと歩きながら吹いたのだった。
本盤の録音にもその雰囲気が詰まっている。いやこの音は誰のものでもない。すごい。すばらしい。
また、ブータン出身のタシ・ドルジの異様さは特筆すべきものであって、宗教儀式のような繰り返しからはただならぬ気配を感じる。割れた音のドラムスとともに、暴力的なほどに、メテさんの大きなバネの収縮をバンド全体に拡張し、陶然とさせられるサウンドを創りあげている。
もし昨年聴いていたなら、これこそベストだと思ったかもしれない。聴けば呆れる。
●メテ・ラスムセン
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)
メテ・ラスムセン@妙善寺(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy(JazzTokyo)(2017年)
ドレ・ホチェヴァー『Transcendental Within the Sphere of Indivisible Remainder』(JazzTokyo)(2016年)
メテ・ラスムセン+ポール・フラハーティ+クリス・コルサーノ『Star-Spangled Voltage』(2014年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(JazzTokyo)(2013年)
『Trio Riot』(2012年)