Sightsong

自縄自縛日記

メテ・ラスムセン+タシ・ドルジ+タイラー・デーモン『To The Animal Kingdom』

2018-01-09 22:54:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

メテ・ラスムセン+タシ・ドルジ+タイラー・デーモン『To The Animal Kingdom』(Trost、2016年)を聴く。

Mette Rasmussen (as)
Tashi Dorji (g)
Tyler Damon (ds)

メテ・ラスムセンは細身の身体をまるで柔らかくも強い鋼のバネのように使い、アルトと一体化して、すさまじい圧の音を発する。2017年の来日時、とくに阿佐ヶ谷天での演奏はどうしても忘れられない。そのときメテさんは、その場で跳ねるバネからの轟音を放ち続けただけでなく、コヤのはじからはじまでカツカツと歩きながら吹いたのだった。

本盤の録音にもその雰囲気が詰まっている。いやこの音は誰のものでもない。すごい。すばらしい。

また、ブータン出身のタシ・ドルジの異様さは特筆すべきものであって、宗教儀式のような繰り返しからはただならぬ気配を感じる。割れた音のドラムスとともに、暴力的なほどに、メテさんの大きなバネの収縮をバンド全体に拡張し、陶然とさせられるサウンドを創りあげている。

もし昨年聴いていたなら、これこそベストだと思ったかもしれない。聴けば呆れる。

●メテ・ラスムセン
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)
メテ・ラスムセン@妙善寺(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy(JazzTokyo)(2017年)
ドレ・ホチェヴァー『Transcendental Within the Sphere of Indivisible Remainder』(JazzTokyo)(2016年)
メテ・ラスムセン+ポール・フラハーティ+クリス・コルサーノ『Star-Spangled Voltage』(2014年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(JazzTokyo)
(2013年)
『Trio Riot』(2012年)


藤井郷子『Kitsune-Bi』、『Bell The Cat!』

2018-01-09 20:40:04 | アヴァンギャルド・ジャズ

昨日の夜とか今日の夜とか、藤井郷子さんのライヴを観に行きたかったのだけれど、花粉のせいか調子がいまいちでやめた。そんなわけで藤井郷子トリオの旧譜を2枚、『Kitsune-Bi』(Tzadik、1998年)と『Bell The Cat!』(OnOff、2001年)。

いずれも、マーク・ドレッサー、ジム・ブラックのトリオであり、前者にはゲストとして早坂紗知参加。ジム・ブラックの音を割りながらのアタックの強さも、マーク・ドレッサーの柔軟なベースもとても良いのだ。そして藤井さんのピアノは冷たく硬くありながらレンジが幅広く、独特な間のようなものがある。ところで『Bell The Cat!』の最終曲が沖縄音階でおおっと思ったら、タイトルが「Champloo」。

今年藤井さんは還暦記念で毎月1枚ずつCDをリリースする。俄然、全部聴こうという気持ちになってきた。

Satoko Fujii 藤井郷子 (p)
Mark Dresser (b)
Jim Black (ds)
Sachi Hayasaka 早坂紗知 (ss)

Satoko Fujii 藤井郷子 (p)
Mark Dresser (b)
Jim Black (ds)

●藤井郷子
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
This Is It! @なってるハウス(2017年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)