Sightsong

自縄自縛日記

クリスチャン・コビ+池田若菜+杉本拓+池田陽子『ATTA!』

2018-01-11 08:15:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

クリスチャン・コビ+池田若菜+杉本拓+池田陽子『ATTA!』(Monotype Rec.、2017年)を聴く。

Christian Kobi (ts, ss)
Wakana Ikeda 池田若菜 (fl) (3)
Taku Sugimoto 杉本拓 (g) (3)
Yoko Ikeda 池田陽子 (vln) (3)

インプロを音響でのみ語るのは馬鹿げたことだと思うが、それは置いておいても、クリスチャン・コビのサックスによる響きはとても多様であり、これらの音をどうやって出しているのか観察するだけでも大した仕事に違いない。バルブのような音や、普通でない音域を使った倍音、管全体の過剰な共鳴と共振は、いちど鳴らし始めたら慣性のように楽器が鳴り続けるものかもしれない。そのコントロール、偶発性、自律性のバランスと共存がとても面白い。ソプラノを使った4曲目では、唇の先で発する音をのみ増幅させたりもする。

3曲目ではフルート、ギター、ヴァイオリンの3人が入る。しかしそれは別々の楽器の世界をぶつけていくようなものではない。むしろコビの作り出すサウンド領域に、各々が音を鋭敏に選んで、腫れ物に触るようにか大胆にか重ね合わせてゆく。その結果、どれがどの楽器か判別しにくいほどになっており、おそらくライヴの観客は息を呑んで見守ったのだろう。

水道橋のFtarri、鹿沼の興文堂、大阪のNooo Kittyにおける演奏。観に行けばよかったな。

●池田若菜
Sloth、ju sei+mmm@Ftarri(2017年)

●杉本拓
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2017年)

●池田陽子
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)