Sightsong

自縄自縛日記

Ken G『Last Winter』

2018-01-20 22:08:23 | アヴァンギャルド・ジャズ

Ken G『Last Winter』(JEX、2005年)を聴く。

Ken G (ts,ss)
Dan Ionescu (g)
Jack Zorawski (b)
San Murata (vln on 6)

Ken Gとは昔の清水ケンGのことであり、今の清水賢二さんのことである。Ken Gと書かれるとどうしてもケニーGを思い出してしまうな。

わたしは第1作の『The Reason』(1995年)と第2作の『Bull's Eye』(1996年)しか聴いたことがないのだが(ちなみに第3作のライナーノートは吉田隆一さんが書いている)、そこから10年近くを経た本作から受ける印象はかなり異なる。ビリー・ハーパーを思わせる初期の熱さと比べ、ずいぶんとスマートだ。帯には「日本のジョー・ヘンダーソン」とあって、確かにジョーヘン的な雰囲気もある。これはこれでリラックスしていて良い。

清水さんは主に山口や九州で活動している。なかなかタイミングが合わないのだが、いつか関東に来る際には観に行きたいと思っている。

●参照
Sun Ship with Guevara『Live at Blue Z』(JazzTokyo)(2017年)
清水ケンG『Bull's Eye』(1996年)


ダニエル・ユメール『Seasoning』

2018-01-20 16:51:39 | アヴァンギャルド・ジャズ

ダニエル・ユメール『Seasoning』(Intuition、2016年)を聴く。

Daniel Humair (ds)
Vincent Le Quang (ss)
Emil Spanyi (p)
Stephane Kerecki (b)

ダニエル・ユメールはシンバルワークの名手である。いちどだけ新宿のDUGで観たとき、シンバルのみで響きの濃淡をつけていく過激さに驚かされた。ここでも大家は健在であり、静かに火花が散るような音はこの人のみのものだなと思うのだった。

もうひとつの注目は、ソプラノサックスを吹くヴィンセント・レ・クアン。音色は透明なのだが、決して真ん中の周波数だけではなく、マウスピースのところで擦るように音を抑え、タンポのパタパタ音を響かせたりしてとても柔軟。アルド・ロマーノ『Liberi Sumus』(2014年)ではテナーも吹いていて、やはり柔らかく印象的だった。これからの注目。

ところでユメールは、かつてデクスター・ゴードンとも共演している。この「European Jazz Legends」には決まってインタビューが収録されていて、その中で、ベルトラン・タヴェルニエ『ラウンド・ミッドナイト』に描かれたパリのジャズシーンについて話題になり、ユメールは、いや違う、デックスはもっとゆっくりと喋るんだ、「A... Night... in... Tunisia」(笑)と真似してみせる。愛情たっぷりだ。

●ダニエル・ユメール
ダニエル・ユメール+トニー・マラビー+ブルーノ・シュヴィヨン『pas de dense』(2009年)
ユメール+キューン+マラビー『Full Contact』(2008年)


八木橋司『TABLE JAZZ 3』

2018-01-20 14:11:12 | アヴァンギャルド・ジャズ

八木橋司『TABLE JAZZ 3』(Jabbinadow Art Music、2000年)を聴く。

Tsukasa Yagihashi 八木橋司 (ss, effecter, voice, radio, microphone, sampler, ball pen, major, etc.)

すごくアナログなアプローチでわけわからず面白い。観たらもっと面白いんだろうな。CDケースと同じくらいの厚さの版画集なのかドローイング集なのかが付属している。

音響自動書記の人だが、いま何をしているのだろう。


マリア・グランド『Tetrawind』

2018-01-20 10:05:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

マリア・グランド『Tetrawind』(自主制作、2016年)を聴く。

María Grand (voice, ts)
Román Filiú (as, fl)
David Bryant (key)
Rashaan Carter (b)
Craig Weinrib (ds)

マリア・グランドはスティーヴ・コールマンのグループにも参加しているテナーサックス奏者であり、気になる存在だった(NYでもリーダーとしてのライヴをやっていて、行きたかった)。

こうしてミニアルバムではあるがリーダー作を聴くと、やはり、M-BASE~スティーヴ・コールマンの流れの中にあるサウンドだ。彼女のテナーはうねうねとした旋律を吹くものの、テナーの重さによって少し落ち着いているような雰囲気がある。

そして意外にも、デイヴィッド・ブライアントがキーボードで参加している。ルイ・ヘイズ、エイブラハム・バートン、レイモンド・マクモーリン、ジョシュ・エヴァンスらの現代のハードバップ的なグループにも多く入っていながら、ここにも、また、別の大きな流れを作り出しているヘンリー・スレッギルの新作にも参加している。ギターのように聴こえる場面もあり、なかなかである。

●マリア・グランド
スティーヴ・コールマン『Morphogenesis』(2016年)

●デイヴィッド・ブライアント
ルイ・ヘイズ@Cotton Club(2017年)
エイブラハム・バートン・カルテットとアフターアワーズ・ジャムセッション@Smalls(2017年)
ルイ・ヘイズ『Serenade for Horace』(-2017年)
レイモンド・マクモーリン@Body & Soul(JazzTokyo)(2016年)
ルイ・ヘイズ@COTTON CLUB(2015年)
レイモンド・マクモーリン『RayMack』、ジョシュ・エヴァンス『Portrait』(2011、12年)


ジム・ジャームッシュ『コーヒー&シガレッツ』

2018-01-20 09:23:04 | アート・映画

体調を崩してしまい、布団の中で、ジム・ジャームッシュ『コーヒー&シガレッツ』(2003年)を観る。

11話のオムニバス。ロベルト・ベニーニ、スティーヴ・ブシェミ、トム・ウェイツ、イギー・ポップ、ビル・マーレイ、GZAとRZAらが実名で登場し、奇妙な会話を繰り広げる。本職はともかくみんな怪優のようなものであり、やたらおかしい。このノリは、ジャームッシュが本人として出演した『フィッシング・ウィズ・ジョン』からも影響があったのでは。

登場する誰もが余裕がなく、対人・対世界の関係を作り損ねていて、いくぶんはコミュ障である。しかし実社会の誰もがそうなのだ。このヘンな奴らを観ていると、感情移入したり呆れたり。ジャームッシュ大好き。

●ジム・ジャームッシュ
ジム・ジャームッシュ『パターソン』(2016年)
ジム・ジャームッシュ『リミッツ・オブ・コントロール』(2009年)


原田依幸+鈴木勲『六日のあやめ』、『一刀両断』

2018-01-20 08:34:21 | アヴァンギャルド・ジャズ

原田依幸・鈴木勲デュオは、『六日のあやめ』(off note、1995年)だけを持っていたのだが、最近、『一刀両断』(off note、2009年)を入手した。聴き比べてみると印象はずいぶん異なっている。

Yoriyuki Harada 原田依幸 (p)
Isao Suzuki 鈴木勲 (b)

『六日のあやめ』は、1995年の大晦日、アケタの店における初共演。当日になって鈴木勲が腰痛で出られなくなったが、3セット目になってついに参戦したのだという(そのためミニアルバムになっている)。それまでまったく接点がなかったからだろうか、お互いに間合いをはかり出方を見極めるような演奏である。これも緊張感があって良いものだ。

一方、そこから十年以上が経って二度目の録音。もう前とはまったく違う。原田さんのピアノは小節の切れ目をまるで無視したように次々に硬質なフレーズを繰り出し、一方のオマさんは独特のエッジの立ったベースで拳をびしびしとさばく。

「KAIBUTSU LIVES!」での共演を観たことはあるのだが、やはりこのデュオをナマで観てみたい。

●原田依幸
原田依幸+後藤篤@なってるハウス(2017年)
生活向上委員会2016+ドン・モイエ@座・高円寺2(2016年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)
くにおんジャズ(2008年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)
生活向上委員会大管弦楽団『This Is Music Is This?』(1979年)
『生活向上委員会ニューヨーク支部』(1975年) 

●鈴木勲
鈴木勲ソロ、椎名豊クインテット@すみだトリフォニーホール(2017年)
鈴木勲セッション@新宿ピットイン(2014年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)
鈴木勲 フィーチャリング 纐纈雅代『Solitude』(2008年)