三軒茶屋の四軒茶屋に足を運び、吉田野乃子ソロ(2018/7/12)。
Nonoko Yoshida 吉田野乃子 (as)
野乃子さんがソロに取り組んで4年だそうで、この日も吉田野乃子スタイルのルーパーを使った演奏。
冒頭に、「空ヲ知ル」(トリオ深海ノ窓『目ヲ閉ジテ 見ル映画』に収録)。北海道の空知という地域名から付けられた名前だそうである。いきなりトレードマーク的な強い音圧のアルトがハコの中を高速で飛び交い反射する。2曲目は、お客さんに言ってもらった言葉も含めて録音し、ルーパー遊び。曲名はこの場所にちなんで「四茶」。そして、『Lotus』に収録されている「Desert Island」では抒情的なはじまりから音が次第に重ねられてゆき、野乃子さんの強い音がまるで小さい無数の分身となってそのあたりを飛翔するようなサウンドになった。続いて、やはり『Lotus』収録の「Uru-Kas」。ここにきてアルトは鋭い音波となって空中でぴきぴきと音を立てた。
ファーストセット最後には、「M's Flat」(『Iwamizawa Quartet』に収録)。MさんとはNY時代の友人だそうで、その悩みを共有したことが曲のモチーフになっている。そう思って聴くと、優しい和声も、慰撫するような曲調も、ルーパーの音をいったんゼロにしての孤独な奮闘を思わせるソロも、また複数の音となっての重なりあいも、そのような意味が込められているのではないかという印象があった。
セカンドセット、最初は即興であり、終盤のマルチフォニックの音に押される。2曲目は、Kim Yooi/吉武裕二というサックス奏者とChant Recordsに吹き込んだ曲「Blood Orange」。いつもはウドゥドラムを使うそうだが、「壺を東京に持ってくるのも大変」なので、カスタネットを使いながらの演奏。3曲目は、サッカーをする妹夫婦をネタにした「Taka 14」、確かに疾走感があり、また片足で音を止めたり、マウスピースを外して吹いたり、コップの水につけたりと、飛び道具を持ってきた。次に、亡くなったお母さんが闘病時に元気になるように書いたという、「Lunatics」(『Lotus』)。ここでは身を震わせながら吹くアルトが祈りのように思えた。
アンコールは、PAを切り、ルーパーも脇に蹴飛ばしての生音ソロ「East River」(『Lotus』)。さすが。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4
●吉田野乃子
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『トリオ深海ノ窓 Demo CD-R』、『Iwamizawa Quartet』(2017、2007年)
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