目黒のPermianにて、現代三味線デュオ(齊藤僚太、ヨシュア・ヴァイツェル)に増渕顕史(2018/7/20)。
Ryota Saito 齊藤僚太 (shamisen)
Joshua Weitzel (g, shamisen)
Takashi Masubuchi 増渕顕史 (g)
最初はトリオ。向かって左から増渕顕史のギター、齊藤僚太の三味線、ヨシュア・ヴァイツェルのギターが、それぞれまったく異なる音色と時間感覚で音を発し始め、わかってはいてもやはり耳が勝手に驚く。増渕さんは自己の確固とした性質をもつスクリーンを通過させ、選別された音を出す。一方のヨシュアさんはより幅広でぐにゃりとして戦場的なギターを弾く。途中から弦に向かって息を吹き付け風音を表現もした。そして齊藤さんは、ことさらに目立つ音を撒くでもなく、そのことが却って三味線であることを際立たせていた。確信的な演奏にみえた。
次に、現代三味線デュオ。ふたりとも振動子を弦に当てて連続的な流れを創り出す。『弦発力』において不思議に思えた音は、やはりこれだったのだ。やがてヨシュアさんは撥で弾きはじめ、連続的な時間の流れに断絶を介入させる。齊藤さんは振動子を見えないところで三味線の胴に当て、そのオン・オフを試行するように繰り返した。ここでも、背後で確信をもってサウンドを変化させていた。
最後に増渕ソロ。選別した結果として透徹した音を出すのが増渕さんのギタープレイだが、ここまで旋律を追う人だったのか。その選別の過程は、ともかくも独立した音を提示しようとする追及のようにみえた。そして収束に向けて全体の中での音というものを意識しているようにもみえた。
ヨシュアさんには、かれの住むカッセルを含め、ベルリンやケルンなどドイツにおけるジャズ・インプロの事情を聞いた。最近でも奥田梨恵子さんやヨシュアさんの現地アレンジにより照内央晴さんがツアーを行ったり、齋藤徹さんや喜多直毅さんが再訪してさまざまな人と共演したりと、話を聞けば聞くほど自分もまた行きたくなってくる。
ところで、このPermianは今年の2月に開いたばかりのスペースで、今回はじめて入った。客席がちゃんと作られているためか、狭くも広くもなく面白い空間である。10月に来日するクレイグ・ペデルセンとエリザベス・ミラーのギグも設定するらしい。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4、XF35mmF1.4
●齊藤僚太
現代三味線デュオ『弦発力』(斎藤僚太、ヨシュア・ヴァイツェル)(2016-17年)
●ヨシュア・ヴァイツェル
二コラ・ハイン+ヨシュア・ヴァイツェル+アルフレート・23・ハルト+竹下勇馬@Bar Isshee(2017年)
大城真+永井千恵、アルフレート・23・ハルト、二コラ・ハイン+ヨシュア・ヴァイツェル+中村としまる@Ftarri(2017年)
現代三味線デュオ『弦発力』(斎藤僚太、ヨシュア・ヴァイツェル)(2016-17年)
ウルリケ・レンツ+ヨシュア・ヴァイツェル『#FLUTESHAMISEN』(2016年)
●増渕顕史
Zhu Wenbo、Zhao Cong、浦裕幸、石原雄治、竹下勇馬、増渕顕史、徳永将豪@Ftarri(2018年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri(2017年)
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)