Sightsong

自縄自縛日記

ロッテ・アンカー+パット・トーマス+インゲブリグト・ホーケル・フラーテン+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『His Flight's at Ten』

2018-10-04 08:10:55 | アヴァンギャルド・ジャズ

ロッテ・アンカー+パット・トーマス+インゲブリグト・ホーケル・フラーテン+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『His Flight's at Ten』(Iluso Records、2016年)を聴く。

Lotte Anker (sax)
Pat Thomas (p)
Ingebrigt Haker Flaten (b)
Stale Liavik Solberg (ds, perc)

アンカーのサックスの大きな特徴は、身体の内部からごぼごぼと沸き立つようなユニークな音色なのだけれど、ここではそれが誰に邪魔されることもなく発揮されている。そのごぼごぼとソルベルグのドラムスがとても噛み合っている。その場で出てきたものを即時にさまざまな音色で発せられるパルスが、ごぼごぼと化学反応を起こしたようなのだ。

サウンドに鮮やかな彩りを付け加えるのはパット・トーマス。フラーテンは後ろに隠れて支えるでも前面で騒乱を起こすでもなく、痛いほどの楔を打ち込み続けている。

●ロッテ・アンカー 
Mahobin『Live at Big Apple in Kobe』(JazzTokyo)(2018年)
フレッド・フリス『Storytelling』(2017年)
須川崇志+ロッテ・アンカー+キャスパー・トランバーグ+ラース・グレーヴェ@下北沢APOLLO(2017年) 
ロッテ・アンカー+フレッド・フリス『Edge of the Light』(2010年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)

●インゲブリグト・ホーケル・フラーテン
ジョー・マクフィー+インゲブリグト・ホーケル・フラーテン『Bricktop』(2015年)
アイスピック『Amaranth』(2014年)
ザ・シング@稲毛Candy(2013年)
インゲブリグト・ホーケル・フラーテン『Birds』(2007-08年)
スティーヴン・ガウチ(Basso Continuo)『Nidihiyasana』(2007年)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)

●ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ
「響きの今」(ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、ピーター・エヴァンス、秋山徹次)@両国門天ホール(2018年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『True Colours』(2017年)
ジョン・ブッチャー+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『So Beautiful, It Starts to Rain』
(2015年)
ジョー・マクフィー+パスカル・ニゲンケンペル+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『Imaginary Numbers』(2015年)
シルヴァ+ラスムセン+ソルベルグ『Free Electric Band』(2014年)
2016年の「このCD・このライヴ/コンサート」


内橋和久+サーデット・テュルキョズ@Bar Isshee

2018-10-04 00:42:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

ユーラシアンオペラ東京2018でのパフォーマンスにあまりにも驚かされて、サーデット・テュルキョズの姿をもういちど観ようと駆けつけた(2018/10/2)。相方は内橋和久。

Saadet Türköz (voice)
Kazuhisa Uchihashi 内橋和久 (daxophone, g)

サーデットさんの名前は幸せという意味らしい。内橋さんとその幸せさん(と、内橋さんは呼んだ)との共演は、12年前にポーランドにおいてハンス・コッホとともにプレイしたときにまで遡るという。そしてサーデットさんは3回目の来日。Intakt RecordsなどからもCDを出しているのに迂闊にも今回まで知らなかった。

スーパーデラックスでは共演者も多く、多くの楽器の音とともにサウンドを作るためか、大変に押し出しが強く圧倒されるステージだった。この日は一転してデュオであり、勢いよりも、じっくりといちから世界を作り上げるようだった。それも、彼女の希望により、真っ暗な中で。リラックスしながらも、すべてを声に込めるスタイルは変わらない。彼女は次第に汗ばんできた。

それにしても、内橋さんのダクソフォンとの相乗効果。アジアの歌声のようでもあり、遠吠えのようでもあり、そしてときにサーデットさんの声なのかダクソフォンなのかわからないほどの重なり合いをみせた。サーデットさんは物語を語っては、また次の物語をもってくる。内橋さんのエフェクトがあり(水滴のような効果が素晴らしかった)、またギターに持ち替えると、物語性はさらに増した。サーデットさんは笑みを浮かべながら生命の危機や哀しみや歓喜をとんでもない強度で表現した。静かな時間も、倍音も、ダクソフォンとの呼吸のシンクロも素晴らしかった。内橋さんが養生テープを弦に貼って割れた音を出したのも良かった。

この翌日に帰国するという。トルコにかと訊いたら、いや出身はトルコだが今はスイスに住んでいるのだと言った。彼女の両親は東トルキスタンからの政治難民である。この長い移動は彼女の歌にも反映されているのかもしれないなと思った。しかしその一方で、インプロの世界はとても狭いからまた会えるとも言った。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●サーデット・テュルキョズ
ユーラシアンオペラ東京2018(Incredible sound vision of Eurasia in Tokyo)@スーパーデラックス(2018年)

●内橋和久
ユーラシアンオペラ東京2018(Incredible sound vision of Eurasia in Tokyo)@スーパーデラックス(2018年)
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
U9(高橋悠治+内橋和久)@新宿ピットイン(2017年)


ジョン・ブッチャー+グザヴィエ・シャルル+アクセル・ドゥナー(the contest of pleasures)『tempestuous』

2018-10-02 07:56:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョン・ブッチャー、グザヴィエ・シャルル、アクセル・ドゥナーによるユニット「the contest of pleasures」の作品『tempestuous』(another timbre、2006年)を聴く。

John Butcher (ts, ss)
Xavier Charles (cl)
Axel Dorner (tp)

変な音の匠3人衆といったところか。常に時間は流れていて、しかしかれらは焦って何かを当てはめようとはしない。各々が奇妙な音を出しあい、それが確信犯的なフローを作り出している。最後の曲では無音が長く続くのだが、終わったとは思えずじっと聴く。聴けば聴くほど奇妙な音が聴こえてくる。

●ジョン・ブッチャー
オッキュン・リー『Cheol-Kkot-Sae [Steel Flower Bird]』(2016年)
ジョン・ブッチャー+ジョン・エドワーズ+マーク・サンダース『Last Dream of the Morning』(2016年)
歌舞伎町ナルシスの壁(2016年)
ジョン・ブッチャー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2015年)
鈴木昭男+ジョン・ブッチャー『Immediate Landscapes』(2006、15年)
ジョン・ブッチャー+ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ『So Beautiful, It Starts to Rain』(2015年)
The Open Secret『A Geography For Plays』(2014年)
ジョン・ブッチャー+トマス・レーン+マシュー・シップ『Tangle』(2014年)
ロードリ・デイヴィス+ジョン・ブッチャー『Routing Lynn』
(2014年)
ジョン・ブッチャー@横浜エアジン(2013年)
ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Bottle Breaking Heart Leap』(2013年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+ジョン・ブッチャー+ポール・リットン『Nachitigall』(2013年)
ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド(2010年)
ジョン・ブッチャー+マシュー・シップ『At Oto』(2010年)
中村としまる+ジョン・ブッチャー『Dusted Machinery』(2009年)
フレッド・フリス+ジョン・ブッチャー『The Natural Order』(2009年)
ジョン・ブッチャー『The Geometry of Sentiment』(2007年)
デレク・ベイリー+ジョン・ブッチャー+ジノ・ロベール『Scrutables』(2000年)
『News from the Shed 1989』(1989年)
ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年) 

●グザヴィエ・シャルル
グザヴィエ・シャルル+ミシェル・F・コテ+フランツ・ハウツィンガー+フィリップ・ラウジャー+エリック・ノーマンド『Torche!』(-2017年)
プラットフォーム『Flux Reflux』(-2017年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2014-16年)

●アクセル・ドゥナー
DDKトリオ+齋藤徹@下北沢Apollo(2018年)
DDKトリオ@Ftarri(2018年)
アクセル・ドゥナー+村山政二朗@Ftarri(2018年)
PIP、アクセル・ドゥナー+アンドレアス・ロイサム@ausland(2018年)
DDKトリオ『Cone of Confusion』(JazzTokyo)(2017年)
「失望」の『Lavaman』(2017年)
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)
アクセル・ドゥナー+オッキュン・リー+アキム・カウフマン『Precipitates』(2011、-13年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbestandige Zeit』(2008年)
『失望』の新作(2006年)