日々のつれづれ(5代目)

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【本】ジェイムズ・ヒルトン著/池央 耿訳 「失われた地平線」(河出文庫)

2015-08-14 20:43:51 | 本・映画・展覧会
 それまでに架空の、夢物語での町だと思っていた「シャングリラ」と言う地名が実在すると知ったのはいつだったか。はい、無知でした。そのシャングリラと無関係ではない本書の存在を知ったのも同じ頃だった。関連して知ったのかもしれないが、1933年刊行の本書をようやく読んだ。

 1930年代初頭、革命で混乱するアフガニスタンから同胞を避難させる任務に就いていた役人コンウェイは、自身も最後の飛行機で避難するもその飛行機は予定の目的地へは向かわず、チベット方面の山中に不時着しその衝撃でパイロットは死亡してしまう。途方にくれる4名の元へ中国人らしき一行が現われ、彼らの住居である壮大な寺院へ一行を案内する。その寺院は外界とは隔絶され、平和に住む人々は常識では考えられないほどの長寿を誇っているのだった…。

 描かれる土地や寺院の内部の様子を想像するのが楽しい。高級ホテルチェーンの名前ににもなった地名が旅へと誘う。一方で、展開される人間模様は面白くもありつまらなくもある。異界に迷い込んだかのような4名、一致団結するわけでもなく各人それぞれの思いで現地を過ごし帰国について思いを巡らすさまはリアルに感じられる。全員が好感の持てる人物とは限らないのも良い。そう都合よくゆくものか。

 だがそうした物語上の描写を追うだけに留まらず、主人公コンウェイと大ラマ僧との会話を読みながら自分も人生や社会、さては人間についてまで思慮することが、この本の読者ならではの愉しみではないかと思えるのだ。

 ところでネット上を改めて調べてみると、中国の町の名は2001年に改名されたものだとの記述を発見。マジかよ。それじゃ自分の記憶っていったい…?


 2015年7月25日 自宅にて読了
コメント
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