「新書大賞2018」に選ばれたそうだ、本書は。後から知ったことだが、良いじゃないですか。これ読んだ若い人がおきまりのレールに乗らず、好きなことに思い切り打ち込んだら素晴らしい。内容は、ポスドクたる著者がバッタの研究のためアフリカのモーリタニアへ単身赴き、現地で苦労しながら研究をする過程を綴ったもの。
バッタでアフリカと言う突拍子もなさそうな行動が目を惹くが、本書は単なるドタバタ日記ではない。さりげなく「研究者として認められるには」「研究(フィールドスタディ)の方法」「データの整理と評価」と言ったプロセス解説も盛り込まれているので「業界解説書」としても読める。その手の話はバッタやアフリカに限った話ではなく、研究者に共通するテーマだろうから。
とは言え、現地でもドタバタは失礼ながら面白い。期待を裏切らない迷走ぶり。それを補う現地スタッフとの交流。アフリカ滞在日記として読んでもいい。
最後、著者はついに念願の「バッタの大群」に遭遇する。大群ってどれくらい?最大500kmだって!東京~大阪間を埋め尽くすバッタ。パニック映画の世界だ。実際、本書に収められている写真がすごい。たくさんあるものでも写真に撮るとまばらにしか写っていないもの。それが写真でもうわってほどの大群…実際には視界一杯がバッタだろう。
残念なのは、著者の奮闘振りはわかったが研究の成果としてバッタの大群発生を抑えるまでに行き着いていない点。まだ駆除は旧来の薬剤散布によって行われているらしく、例えば遺伝子操作で卵が孵化しないようにするとかできないものか(犬猫などと違い、去勢手術なんてできる数ではない)。著者の今後の活躍と新たなレポートが待ち遠しい。
2018年10月22日 通勤電車にて読了
追記
ミドルネーム「ウルド」は冗談でつけているのではなく、活躍が認められ現地の研究所長から「名乗って良い」と認められた由緒あるものだとのこと。
バッタでアフリカと言う突拍子もなさそうな行動が目を惹くが、本書は単なるドタバタ日記ではない。さりげなく「研究者として認められるには」「研究(フィールドスタディ)の方法」「データの整理と評価」と言ったプロセス解説も盛り込まれているので「業界解説書」としても読める。その手の話はバッタやアフリカに限った話ではなく、研究者に共通するテーマだろうから。
とは言え、現地でもドタバタは失礼ながら面白い。期待を裏切らない迷走ぶり。それを補う現地スタッフとの交流。アフリカ滞在日記として読んでもいい。
最後、著者はついに念願の「バッタの大群」に遭遇する。大群ってどれくらい?最大500kmだって!東京~大阪間を埋め尽くすバッタ。パニック映画の世界だ。実際、本書に収められている写真がすごい。たくさんあるものでも写真に撮るとまばらにしか写っていないもの。それが写真でもうわってほどの大群…実際には視界一杯がバッタだろう。
残念なのは、著者の奮闘振りはわかったが研究の成果としてバッタの大群発生を抑えるまでに行き着いていない点。まだ駆除は旧来の薬剤散布によって行われているらしく、例えば遺伝子操作で卵が孵化しないようにするとかできないものか(犬猫などと違い、去勢手術なんてできる数ではない)。著者の今後の活躍と新たなレポートが待ち遠しい。
2018年10月22日 通勤電車にて読了
追記
ミドルネーム「ウルド」は冗談でつけているのではなく、活躍が認められ現地の研究所長から「名乗って良い」と認められた由緒あるものだとのこと。