日々のつれづれ(5代目)

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【本】中田哲也著 「フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える- 新版」(日本評論社)

2024-01-09 20:00:00 | 本・映画・展覧会

 食料の量と生産地からの輸送量を掛け合わせたものがフード・マイレージ。大雑把に説明するとそうなる。食料の輸入大国である日本は、その総フード・マイレージも他国の追随を許さない。決して誇ってよいことではない。長距離を運ばれる品が多いと言うことは、輸送過程で発生するCO2も多いと言うこと。多くの品を輸入することは、間接的に地球温暖化に加担しているとも言える。

 …とまあこんな調子で、フード・マイレージとは何か、日本はどのくらいか、それは世界の他国と比べてどうなのか、に留まらず、環境問題までを具体的な試算で示している。厳密な試算など無理で、都合の悪い向きなら「この試算は現実を反映していない」と言うだろうが、食料の大半を輸入している現状では大同小異の話だ。そして、例えば「地産地消」したらどうなるかと、2,3の例(実際の取り組み)から比較している。フード・マイレージの観点では、間違いなく地産地消は正義だと解る。だが本書の説明範囲はここまで。具体的な取り組みへの言及はあまりない。言及する取り組みがないのかもしれない。

 しかし消費者の立場から言わせて貰えば、好き好んで輸入品を買う人間など多くないはずなのだ、少なくとも生鮮食品においては。スーパーで、地球の裏側から運ばれてきた肉や野菜が国産品より安い、だから買うだけなのだ。同じ品質で同じ値段であれば、誰もが間違いなく国産品を選ぶはずだ。たとえフード・マイレージとかCO2排出量とか考えちゃう「意識高い系」でなくても。そうした消費者の心理、行動原理を踏まえた上で「ではどうすれば良いか」を論じた本を読んでみたいと思うが、これまでに出会ったことがない。国内の第一次産業者に補助金を出す以外に出荷品の価格を下げる手段がないとすれば、実に情けないことだ。

 2023年12月25日 自宅にて読了

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