「おはぐろとんぼ」宇江佐真理
時代小説、短編集。
6編が収録されている。
P64
時代小説、短編集。
6編が収録されている。
P64
この世の中、いいことがあるなんて考えるのは間違いだ。今より悪いことが起こらなければ御の字だ。
P129
P129
「お父ちゃん、お湯が熱うてかなわんねん。温まらんでもええやろ」
女の子は甘えるように訊く。
「あかん、あかん。湯に入って百まで数えろ」
「うち、百までなんて、よう数えられん。十(とお)や」
「うち、百までなんて、よう数えられん。十(とお)や」
「やけに値引きしよるな。間取って五十でどや」
(みごとな上方言葉を駆使されている…感心した)
(みごとな上方言葉を駆使されている…感心した)
【ネット上の紹介】
父親の跡を継ぎ、日本橋小網町の料理茶屋で料理人を勤めるおせん。上方で修業をし、新しく親方になった板前の銀助とたびたび衝突しては、店にほど近い稲荷堀の水を眺めて心をしずめていたが―仕事一筋に生きてきた女に訪れた転機と心模様を描く表題作ほか、江戸下町の堀を舞台に、町人から武士まで、悲喜交々の人情を鮮やかに映し出す感動の傑作時代小説集。