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「吉原(なか)と外」中島要

2022年12月26日 09時47分05秒 | 読書(歴史/時代)


「吉原(なか)と外」中島要

美晴は花魁だったが、身請けされる。
そこにお照が女中として住み込み、2人の生活が始まる。

中島要さん最新作。
6編からなる連作長編。
第1章以外、書き下ろし。
仕掛けが施されていて、最終話で「そうなのか!」となる。
ことしベストの1冊、楽しめる。

P41
「地女(しろうと)は加減を知らないからね。塩と悋気はほんの少しにしておかないと、取り返しがつかなくなるんだよ」

P63
「金と男の機嫌はとりあえず取っておく。それが吉原(なか)の女の心得ざます」

P139
「女郎は男に嘘しかつかないと言われたって?そんなの当たり前じゃないか。女郎に嘘をつくなというのは、坊主に経を唱えるなと命じるようなもんさ」

P150
美晴によると、客にあれこれ強請る女郎は売れっ妓になれないという。にっこり笑って、「ぬしのほかに欲しいものなどありんせん」と言っていれば、客が進んで貢いでこれうようになるそうだ。

【ネット上の紹介】
元花魁と女中が二人暮らし。出るのは鬼か…。気っ風と純情――江戸の女を描き尽くす著者新境地! 「あんたがお照で、あたしが美晴。何ともお似合いの二人じゃないか。」 お照は義父の卯平に命じられて、亀井町の妾宅で働いている。主人は卯平の奉公先である室町の呉服屋、砧屋喜三郎だ。 喜三郎は手代上がりの婿養子で、妻のお涼に頭が上がらない。そのため、吉原の花魁だった美晴を囲っていることは秘密である。通い番頭の卯平は喜三郎の兄貴分で、自分を引き上げてくれた弟分を守るべく、義理の娘に美晴の世話をさせることにしたのだ。 卯平は「美晴が男を連れ込んだら、すぐに教えろ」とも、お照に命じていた。それぞれが手前勝手な思惑を抱える中、美晴とお照の付き合いは思いがけず深まっていく……。