原題:『Die Artisten in der Zirkuskuppel : Ratlos』
監督:アレクサンダー・クルーゲ
脚本:アレクサンダー・クルーゲ
撮影:トーマス・マウフ/ギュンター・ホールマン
出演:ハンネローレ・ホーガー/クルト・ユルゲンス
1968年/西ドイツ
(ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞)
エンターテインメントの過激化の果て
作品の冒頭はビートルズの「イエスタデイ」のドイツ語ヴァージョンと共に、ヒットラーが率いるドイツ軍のニュースフィルムが流れる。1937年に開催された祭典の映像の後、サーカスに関する考察が始まる。今のままではサーカスが廃れてしまうということで、例えば、蛇使いは2分間首を吊る芸を試みるものの、そのまま死んでしまう。それはサーカスの芸人だけでなく、サーカスで芸を見せる象たちも同様で、芸風が過激化する中で火災の中に取り残されたことを象のモノローグで恨みを語らせる。サーカス小屋を経営する主人公のレニ・パイカートは様々な手段でサーカスを盛り上げようと試みるが、最後にはテレビに勝てないことを悟る。
作品冒頭とラストの方だけカラーフィルムが使用されているのであるが、その意図がよく分からなかった。劇中でレニが全裸で入浴するシーンがある。映画史における全裸シーンは早い方だと思う。