原題:『桜、ふたたびの加奈子』
監督:栗村実
脚本:栗村実
撮影:ニホンマツアキヒコ
出演:広末涼子/稲垣五郎/福田麻由子
2013年/日本
怪しげなファンタジー
小学校入学式当日に自分が運転するクルマで学校まで送り、娘の晴れ姿を写そうとカメラを探している間に、加奈子が一人で学校へ向かおうと道路を横切ろうとした際に、自動車事故で亡くしてしまった主人公の桐原容子は自殺を図るまで精神的に追い詰められるのであるが、作品冒頭から皿やフライパンなど丸いものがアップで映されるように、加奈子の交通事故も日常の一コマのように丸いミラーの中で起こる。その後もアイスクリームグラスなどがアップで映され、ついには容子の実家である古本屋の店主で、容子の祖母である富永松代が店頭に置いている知恵の輪へ行き着く。その知恵の輪が解かれ、輪が欠けた時に明かされる真実は敢えて書かずにおくが、その怪しげなファンタジーは佐村河内守の独特の音楽と相まって、今時なかなかお目にかかれないATG時代の実相寺昭雄監督の作風を彷彿とさせる。