原題:『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー』
監督:石田雄介
撮影:神戸千木
出演:ナオト・インティライミ
2013年/日本
ワールドツアーの可能性
友人のアンドレス・セペーダとコロンビアで8年半ぶりに再会し、彼が主催しているフェスに参加しようとするものの、舞台監督に嫌われ、降雨などの気象条件も災いし、出演することが叶わなかったとナオト・インティライミは述懐しているが、そもそもクライマックスはアンドレスと彼の友人でアンドレス同様に知名度があるミュージシャンの共演というプログラムの構成上、ナオトが出演する機会は事実上無かったことくらいは、本人が気がついても良かったと思う。例えるならば、井上陽水と吉田拓郎のジョイントコンサートならば、ボブ・ディランくらいのステータスがなければ締めに出演することは出来ないということである。ワールドツアーを企んでいるのであるならば、英語圏の国にも訪問するべきだったように思うが、サッカーボールとギターがあれば世界中を余裕で旅することが出来る旅人でさえもなかなか英語圏へ突入することは困難を極めるらしい。
それにつけても私はナオトを嫌った舞台監督に同情する。それまで練りに練った舞台進行が突然やって来た外国人に滅茶苦茶にされそうになる恐怖は、失敗したとしても、その外国人は自国に帰れば済む話であっても、その舞台監督は次の仕事を得ることに多大な影響を被るからであり、そのような‘弱者’の気持ちを理解できないようでは、身内だけの国内ツアーならばともかく、ワールドツアーも何も無いであろう。