MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『信長協奏曲』

2016-02-04 00:43:20 | goo映画レビュー

原題:『信長協奏曲』
監督:松山博昭
脚本:西田征史/岡田道尚/宇山佳祐
撮影:江原祥二
出演:小栗旬/柴咲コウ/向井理/藤ヶ谷太輔/夏帆/高嶋政宏/濱田岳/高嶋政宏/山田孝之
2016年/日本

パラドックスの解消により生まれる新たなパラドックスについて

 現代の高校生である主人公のサブローが本物の織田信長にそっくりだったことから入れ替わり活躍するという設定は、とかく暗くなりがちな戦国時代をポップな雰囲気で包み込むことに成功しているように見える。だから問題を論う必要もないのではあるが、やはり気になるところはタイムスリップのパラドックスである。
 高校生にもなってサブローが自分が成り代わっている織田信長が間もなく死ぬことを知らなかったということは考えにくいとしても、日本史の教科書の扱い方から判断するならば無いことはないであろう。サブローはページの下半分が欠損した箇所の「信長の死後、」という文面から自分が死ぬことを知るのであるが、その次に「1582年(天正10年)羽柴秀吉が明智光秀を討ち」という文章が続いているのだから、本当はサブローは既にサルくんがミッチーを討つという秀吉の謀反を知っていなければならないはずなのである。タイムパラドックスを解消するためにサブローはあくまでもバカでなければならないのだが、バカが平和を求めて天下統一を計れるのかという新たなパラドックスが生じてしまっているのである。
 観賞前にテレビドラマを観ていればより登場人物に感情移入できると思う。


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