原題:『Pinocchio』
監督:ベン・シャープスティーン/ハミルトン・ラスク
脚本:テッド・シアーズ/オットー・イングランダー/ウェッブ・スミス/ウィリアム・コトレル
ジョゼフ・サボ/アードマン・ペナー/オーレリアス・バタグリア
撮影:ボブ・ブロートン
出演:ディッキー・ジョーンズ/クリフ・エドワーズ/クリスチャン・ラブ/イヴリン・ヴェナブル
1940年/アメリカ
良心を備えていては却って不都合な主人公について
7名の脚本家が名を連ねた本作は、原作に含まれていた社会風刺などの毒を抜いた結果、いかにもディズニーのアニメーションらしく仕上がっている。最も驚くことはピノキオには良心(conscience)が無く、代わりにコオロギのジミニー・クリケットが良心役を担っていることで、だからピノキオはキツネのJ・ワシントン・ファウルフェローとネコのギデオンのコンビに、最初はスターになれるからと、次には病気療養が必要だということで誘拐されてしまうのである。
しかしそもそもピノキオには良心が無いのだから、誘惑(temptation)に逆らえるはずもない訳で、本物の子供でさえ「プレジャー・アイランド」でロバにされている中、良心が無いにも関わらず最後に本物の人間になれただけでも大したものなのである。唯一、原作にある皮肉が感じられたところは、ストロンボリ一座でスターになったピノキオに対して、スターには良心は必要ないだろうと一旦はピノキオに付いていくことを諦めたジミニーの言動である。