東京都現代美術館で催されている「TОKYО 見えない都市を見せる」を観に行った理由は
YMО(イエローマジックオーケストラ)に関する資料が展示されていることを知ったからである。
YMОにはいまだにアンビヴァレントな気分を持ってしまう。1970年に結成されたドイツの
バンドのクラフトワーク(Kraftwerk)から多大な影響を受け、その無機質なポップミュージック
に「身体性」を与えて発展させていった功績は高く評価されるべきであろうが、上の写真や
あるいは「増殖」のアートワークなど見ていると気持ち悪さが拭えないのである。要するに
彼らの「オタク的」な部分に嫌悪感を感じてしまうのである。どうしてそうなってしまうのか
考えてみると、例えば細野晴臣が在籍していた「はっぴいえんど」というバンドに松本隆という
優秀な作詞家がいたように、YMОには致命的ともいえる作詞家の不在が分かりやすいコンセプト
を作れず、「身体性」を感じるのに、そこには「実存」も「政治性」も「愛」も感じられない
「ゾンビ感」が不気味なのである。それが「TОKYО」だと言われればそれまでなのだが。