原題:『我的父親母親』 英題:『The Road Home』
監督:チャン・イーモウ
脚本:パオ・シー
撮影:ホウ・ヨン
出演:チャン・ツィイー/チョン・ハオ/スン・ホンレイ/チャオ・ユエリン
1999年/中国
「赤と黒と白」で綴る物語について
物語自体は主人公のルオ・ユーシェンの母親のチャオ・ディと父親のルオ・チャンユーとの出会いと、40年後の父親の死を弔う葬儀の模様が淡々と描かれているだけなのであるが、細かい配慮で裏打ちされた演出が素晴らしい。
18歳のチャオ・ディと教師として村に赴任してきた20歳のルオ・チャンユーとの出会いのシーンはカラーで描かれるのであるが、彼女は新築の校舎の梁に貼る赤い布を織って、赤い服を身に着けながら馬車に乗って町に連れ戻される彼を一人で追って走っていく彼女のシーンと、再び白黒になって亡くなったルオ・チャンユーの棺を彼の多くの教え子たちが黙って担いで村に戻ってくるシーンの対照性が印象的で、年老いたチャオ・ディが校舎から子供たちの声に混じって聞こえてくる教師の声に導かれて学校に来てみると、そこでは村長に頼んで臨時に授業をさせてもらっていた自分の息子がおり、そこで今と過去がシンクロするのである。それはまるでルオ・チャンユーがチャオ・ディにプレゼントした「赤と黒と白」が入り混じった髪留めのようではなかったか