原題:『宮松と山下』
監督:佐藤雅彦/関友太郎/平瀬謙太朗
脚本:佐藤雅彦/関友太郎/平瀬謙太朗
撮影:國井重人
出演:香川照之/津田寛治/尾身としのり/野波麻帆/大鶴義丹/尾上寛寛/黒田大輔/中越典子
2022年/日本
「田園」では死ねない映画監督たちについて
普段はロープウェイの管理をしている主人公の宮松は副業としてエキストラ俳優をしている。ところがやがて明らかにされるように宮松は12年前には山下という名前でタクシー運転手をしていたのだが、あることをきっかけに記憶を失って現在のような状況に置かれているのである。
現実なのか芝居中なのか分からないままストーリーが展開していく作品前半は面白く見れるのだが、タクシーの運転手をしていた時の同僚の谷が現れて妹の藍と夫の健一郎と再会した後の展開からストーリーに無理を感じる。記憶を失った山下がどのような経緯で「宮松」までたどり着いたのか具体的な描写がないし、現実的に不可能だと思うからである。だから本当はラストシーンも「はい、カット!」としてメタフィクションにすればよかったのだが、三人の監督はセンチメンタリズムに拘泥してしまい、結果失敗しているように思う。『田園に死す』(寺山修司監督 1974年)のラストシーンを見倣うべき。
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