MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『マジカル・ミステリー・ツアー』 100点

2012-10-16 19:54:47 | goo映画レビュー

マジカル・ミステリー・ツアー

1967年/イギリス

ネタバレ

テレビ映画の役割について

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 1967年12月26日のイギリスの家族団らんの中に、‘悪夢’を持ち込むことが出来たのはビートルズだからである。これが劇場公開作品であるのならば、返金を要求することも不可能ではないだろうが、今現在に至っても意味のあることしか放送できないテレビというメディアに‘ナンセンス’を持ち込むことは前代未聞であり、今後も絶対と言っていいほどありえないビートルズの功績であり、間違いなく『マジカル・ミステリー・ツアー』は、1969年開始のBBCテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』の放送可能性のハードルを大幅に下げたはずなのである。


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ヴォーカリストの老い

2012-10-16 17:26:27 | 邦楽

五郎には分かる「秀樹は歌い続ける」(日刊スポーツ) - goo ニュース

 「60歳を過ぎたら歌の世界をやめようと思う」という西城秀樹の発言に対して、「最近

あいつは冗談が下手なんです。歌の世界に生きる人はそんなに簡単にやめない」と話す

野口五郎の気持ちは分かるが、アイドルでありながらほとんどロックヴォーカルとして

ファンを魅了してきた西城にしてみれば、脳梗塞の後遺症で全盛期の実力を出せない

ことを人前で歌うたびに痛感するのであろうから、西城の気持ちもよく分かる。そもそも

病気を患っていなくてもヴォーカリストは年老いるとジャズなどを歌いだすものであり、

実力があるとそれだけ衰えが目立ってしまうというのは何とも皮肉な話である。


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『推理作家ポー 最期の5日間』 80点

2012-10-15 23:54:56 | goo映画レビュー

推理作家ポー 最期の5日間

2012年/アメリカ

ネタバレ

小説家としての矜持について

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 警察の忠告を無視してハミルトン大尉が娘のエミリーの23歳の誕生日会として開催された仮面舞踏会中に誘拐された恋人であるエミリー・ハミルトンを救うために東奔西走するエドガー・アラン・ポーが、自ら執筆した推理小説に翻弄されてしまうというアイデアもさることながら、貧窮に苦しみながらも文筆だけで身を立てようとした最初の小説家としての矜持を感じさせるラストシーンについて言及しておきたい。
 植字工のイヴァン・レイノルズに毒を飲まされながらも、誘拐されたエミリーを見つけ出すポーではあったが、病院に行くこともなく死を覚悟して現場から離れてしまう理由は、もしも一連の事件の犯人が明らかになってしまうと、ポーに傑作を書かせたとしてレイノルズが‘英雄’扱いされてしまう可能性があったからであり、ポーにとっての‘ミューズ’はエミリーである以上、世間の噂話としてさえも余計な誤解は避けたかったのである。
 「彼の名前はレイノルズ」というポーの最後の言葉を聞いたエメット・フィールズ刑事はポーの小説家としてのプライドを察し、刑事としてではなくポーの親友として、今度はフランスでジュール・ヴェルヌに傑作を書かせようとしていたレイノルズを馬車の中で‘暗殺’したのである。一緒に犯人を追っているうちに自然と芽生えた友情を粋な演出で見せるところが素晴らしいと思う。


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“客観的な機関”

2012-10-15 22:52:13 | Weblog

森口氏「調査に協力」=iPS問題、東大が事情聴く(時事通信) - goo ニュース

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を心筋細胞に変え移植治療に使ったと発表した森口尚史は

「関係者の方々に結果的に迷惑を掛け、大変申し訳なく思っている」として特任研究員を

務めている東京大付属病院に辞意を伝えたらしいが、クビにされる前に自ら辞めたという

ことでしかない。1回だけ実施したと主張する移植について「私は自信を持っているが、

客観的な機関の調査に協力する段階で資料などを提示させていただく」と、いまだに

移植治療をしたことだけは譲らないようであるが、この場合の“客観的な機関”というものが

何を指すのか分からない。マサチューセッツ総合病院を始め、今のところ関係する全ての

機関に否定されている中、森口を肯定出来る“客観的な機関”の登場が楽しみではある。


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『ソハの地下水道 』 70点

2012-10-14 22:52:44 | goo映画レビュー

ソハの地下水道

2011年/ドイツ=ポーランド

ネタバレ

ファンタジーと化したラストシーンについて

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 主人公のレオポルド・ソハは下水道のメンテナンスを生業としていたが、その合間に空き巣をして妻と幼い娘を養っているところが、やがて地下水道で発見したユダヤ人たちをドイツ軍に通報するのではなく、匿うことで報奨金以上の金銭を稼ごうとするソハの卑しさにリアリティを与えている。助ける人数に関して多ければ隠しきれないし、かといって少なくては利益が減ってしまうために、ユダヤ人たちのリーダーとソハが一人を巡って駆け引きするシーンにも説得力がある。多言語が飛び交う中、現状を把握できていない2人の子供たちが地下水道内で道に迷ったりしているが、それはソハの娘も同様で、ユダヤ人を探している将校がソハの家を訪れ、果物を手にした時に、それはユダヤ人のためのものだと口を滑らせてしまう。
 このような徹底したリアリズムは最後まで観客の目を惹きつけるものであるのだが、思わぬ展開が待っている。ようやく戦争が終わって、地下水道に隠れていたユダヤ人たちが地上に出てくるシーンにおいて、ソ連兵はいるものの、何故か既に道路などがのインフラが整備されているのである。つまり戦争が終わってもユダヤ人たちはなおしばらく地下水道内に隠れていたことになり、一体いつ頃にユダヤ人たちは自由の身になったのかよく分からないままリアリズムがファンタジーに取って代わってしまうことは、本作が事実に基づいたものと謳われており、実は最後のシーンは死んだユダヤ人たちの見ていた夢であるとはならないために、ラストシーンは演出的には失敗していると思われるが、そこに至るまでのシーンの緊迫感が失われることはない。


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読売新聞の凋落

2012-10-14 00:42:34 | Weblog

肩書き、大学に確認せず iPS誤報で読売新聞(朝日新聞) - goo ニュース
【おわび】iPS移植は虚偽…読売、誤報と判断(読売新聞) - goo ニュース
共同通信がおわび=iPS臨床「裏付け不十分」(時事通信) - goo ニュース
森口氏「研究者やめる」…iPS移植虚偽発表(読売新聞) - goo ニュース

「悪意はなかった」としても「ウソをついたことを認めます」というのであるならば、森口尚史は

「研究者としての仕事をやめる」のではなくて、どこの研究所からも仕事のオファーが来ない

のだから研究者として仕事ができなくなったのであり、最後の最後まで言葉が不確かなので

あるが、iPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心臓病患者に移植したという森口尚史の研究

成果に疑義が生じている問題で一番驚かされたことは、森口本人よりも、あの程度の虚偽に

騙されてしまった読売新聞である。テレビのインタビューのへらへらした答え方からして私は

怪しい男だと思っていたが、読売新聞が何故あの程度のレベルの低い嘘に引っかかって

しまったのか考えると、今後、新聞社として読者の信用を取り戻せるのか疑問が残る。


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『ツナグ』 20点

2012-10-13 22:30:07 | goo映画レビュー

ツナグ

2012年/日本

ネタバレ

収拾がつかなくなった脚本について

総合★☆☆☆☆ 20

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 主人公の渋谷歩美は、生者と死者を一夜だけ再会させる仲介人「ツナグ」として祖母の渋谷アイ子の手伝いを通して、畠田靖彦、嵐美砂、土谷功一とそれぞれの死者との再会を目の当たりにし、結果的に3人ともに感謝されることになる。ところが肝心の歩美は彼が幼い頃に自殺した両親に会って無理心中した原因を聞こうともせず、意味がよく分からない屁理屈を述べて自己満足していることはどう考えても無理がある。更に歩美は死者に会うとするならば、祖母に向かって祖母に会いたいと言ってしまう。「ツナグ」という仕事はどうしても再会したい心残りの死者に会わせるというものであり、まだ生きている祖母に会いたいということは、祖母に対して未練を残すような振る舞いをしてしまうという宣言になってしまう。つまり歩美は「ツナグ」としての経験から何も学んでいないのである。
 更に気になることは、チェーホフの『桜の園』の主人公であるラネーフスカヤの役を巡って、本命だった嵐美砂に対して、彼女の親友である御園奈津が立候補し、奈津が主役を射止めた後に、部室で奈津が友人たちとしていた会話を偶然、廊下で美砂が聞いてしまうシーンで、奈津の言葉「あたしに敵うはずがないじゃない」という真意を、美砂の友人は「あたし」と「嵐」を聞き間違えたのではないかと慰めるのであるが、それ以前にこの文章の主語が問題だと思う。「あたしに敵うはずがないじゃない」とは嵐が私に敵うわけがないという意味と同時に、嵐には私には敵わないとも受け取れるからである。
 このように後半のストーリー展開はグダグダで脚本は完全な失敗であるが、霊媒師の役ならば今や右に出るものがいない樹木希林の演技と、ゴシック調の背景に映える橋本愛の美しさだけは観る価値はあると思う。


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石原慎太郎の民兵組織

2012-10-13 00:30:41 | Weblog

尖閣巡り「都知事『戦争辞さず』」 前原氏、明かす(朝日新聞) - goo ニュース

 尖閣諸島の購入問題をめぐって、東京都の石原慎太郎知事が8月19日の野田佳彦首相

との会談で、中国と「戦争も辞さず」みたいな話をしたということはいかにも石原らしい

発言ではある。前原誠司国家戦略相は「東京都が『尖閣諸島を守ります』と言っても、海上

保安庁も自衛隊も持っていない。気合だけで言ってもらっては困る」と苦言を呈しているが、

石原もそれほどバカではないし、三島由紀夫のように「楯の会」のような民兵組織を既に

密かに結成しているはずだから、若い衆に戦わせるのであろう。見てみたかった。


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『新しい靴を買わなくちゃ』 0点

2012-10-12 23:50:57 | goo映画レビュー

新しい靴を買わなくちゃ

2012年/日本

ネタバレ

新しい靴を買う前に教科書を

総合☆☆☆☆☆ 0

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 オールパリロケ、プロデューサーとして岩井俊二が加わり、監督と脚本に北川悦吏子、坂本龍一が音楽を担当し、中山美穂と向井理のW主演という‘お洒落’尽くしの本作は、低予算で撮られていることを勘案するならば、作品そのものの出来としては悪くはないのであるが、残念ながら北川悦吏子が最も得意とするはずの肝心の脚本に瑕疵がある。
 パリ在住で、日本語のフリーペーパー「OVNI」の編集をしているアオイが、自宅に訪ねてきたフランス人の友人のジョアンヌに、カメラマンのセンを紹介する際に、「Mon ami」と紹介するのであるが、親しい友人に女性が男性を「Mon ami」と紹介する場合はたいてい「彼氏」の意味であり、誤解を避けるために、例えばアオイが「un de mes amis」と言うか、あるいはジョアンヌが「petit ami (=恋人)」なのかとアオイに確かめながら小粋な会話が弾んだはずである。それはもちろんアオイがフランス語を解さないセンと事情を解さないジョアンヌの2人をからかい半分で言ったはずであり、だからジョアンヌはセンにアオイの子供のことを語ったはずであるが、何故かフランス人のジョアンヌはセンのことをアオイの「boyfriend」ではなく「friend」としか認識していない。
 センがバンド活動をしていたことをアオイに言った時に、アオイは自分は日本人だから「すべからく」をフランス語に訳せないと言うのであるが、それは北川悦吏子が分からないだけであって、アオイほどフランス滞在が長ければ、例えば「sans doute」などと訳せるはずである。
 もちろんフランス滞在が長い中山美穂ならば気がついていたはずであるが、「月刊シネコンウォーカー」8月号の中山美穂のインタビューによるならば、「北川さんの今回の演出意図は、彼女が書いたセリフを一言一句大切にすることで、アドリブは禁じられていました」とあるから、責任は北川にあり、ここで指摘したフランス語は難しいものではなく、語学学校の初級クラスで学ぶレベルのものである。
 どうせ日本人の観客はフランス語など理解できないだろうというあからさまな軽視が感じられ、観賞券を買ってまでバカにされたことがない者としてはかなりのショックを受けた。そういう評価である。


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アニメ演出家の不幸

2012-10-12 00:29:01 | Weblog

遠隔操作ウイルス 脅迫文に釈放男性実名…大阪府警、不可解状況で逮捕(産経新聞) - goo ニュース

 大阪府警によると、7月29日夜、大阪市HPの「市民の声」のページに「来週の日曜 

(大阪・日本橋の)ヲタロードで大量殺人をする」など書き込まれた際、住所やメールアドレス

はでたらめな内容で、名前には誤ったふりがなが振られていたものの、アニメ演出家の

実名が書き込まれていたのだが、当の本人は任意の聴取に「全く心当たりがありません」

と犯行を否認した。実名が書き込まれた場合は、本人が認めることで確信犯と見なすはず

であるが、パソコンの任意提出を受け解析した結果、書き込みされた時間帯に、市のHPに

接続したことを示すアクセス記録が削除されていたことが分かり、証拠隠滅を図るため記録

を消去したと判断し、逮捕したらしい。実名を書き込んでおいて証拠隠滅を図るということに

違和感を持つべきだったと思う。アニメ演出家という職業柄、“愉快犯”という偏見をもたれた

ことは否めないだろう。


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