青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

おとなの週末

2008年02月23日 23時33分29秒 | 日常
(画像:中禅寺金谷ホテル銘板)

新しい一眼の撮影試験を兼ねて、昨日から一泊で奥日光へ。
日光では伝統と格式を誇る名門・金谷ホテルグループの「中禅寺金谷ホテル」に宿泊してみた。
自炊一泊4千円の旅も楽しいが、たまにはこういう旅もいいと思って(笑)。

「金谷ホテル」と言えば箱根は宮ノ下の冨士屋ホテルとタメを張る伝統ある高級ホテルで、普段なら諭吉さん三枚とサヨウナラする覚悟が必要である。しかし、冬季&平日と言う完全なるシーズンオフなので今の時期はリーズナブルな値段なんだよね。平日休みならではの効能を最大限に活かしてみました。
本家の金谷ホテルとは違って、中禅寺の金谷ホテルはログハウス風のいわゆるリゾホであります。マッカーサーだの宮家だの、いわゆる「やんごとなき方々」が宿泊なすったホテルですから、フロント兼ロビーからして品のいい感じですわな。チェックインから従業員の接客と言うのもこれが高級なんだなあと思わせる「爽やかな慇懃無礼」と言った感じのうやうやしさがあるねえ…。

今回は宿がメインなので、さっさとホテルに入ってチェックアウトまでのんびりしてました。
通された3Fの部屋は全室中禅寺湖が見える南向き。バスとトイレは別々に部屋に用意されているが、正直トイレも風呂も四畳くらいあって無駄に広い(笑)。ベッドはスプリングが利いていて布団はフカフカ、ベッドの上には固い枕と柔らかい枕の二種類が用意されていて、個人の好みに細かく配慮しているあたりが憎いねえ。

早速部屋のウッドデッキでコーヒーを飲みながら一服してみたりする。恥ずかしいが、「おとなの週末」みたいなプチブル雑誌の紙面を地で行くような行動だな(笑)。ゆっくりと変わる雲の流れを見つつ、体が冷えて来たので温泉。白濁色の湯に浸かりながら中禅寺湖と暮れて行く空を眺めてみる。日光湯元温泉からの引き湯で、硫黄の匂いの濃いサラサラとしたお湯であります。
夕食はダイニングルームで地ビールを傾けて、ゆっくりと運ばれる料理を味わってみたり。何と2月2回目のフレンチ(笑)。どうした、俺。オードブルの日光湯葉のサラダを食べながら、「醤油が欲しい」と言うのをじっと我慢。虹鱒のムニエルのキノコソースが美味しく、メインの牛ヒレ肉のステーキは根気良くタマネギを炒めて作ったソースが美味しい。タマネギの旨味が凝縮してますね。

夕食後は、ロビーにある赤々と燃える暖炉の前でワイン飲みながらトロトロと過ごしてみたり。シンと静かなロビーに、パチパチと薪のはぜる音がする。炎っていいね…眺めていると心の落ち着くものです。人が闇を畏怖し、その闇に打ち勝とうと編み出したのが火であるらしいが、古代より人間のDNAには、火の暖かさとかやわい明るさが恐怖を打ち消し、心を静めると言うメソッドが刷り込まれているのだと思う。ちなみにこの暖炉は3Fまでの吹き抜けになっていて、そのおかげで館内は柔らかく暖かいです。

寝る前の露天風呂。宿泊客は確かに少なかったが、温泉はいつ行ってもきちんと湯桶と洗面道具が片付けられていた。とにかく微に入り細に入り行き届いているサービスと、シチュエーションの作り方の上手さって言うのが高級ホテルなんだなあと感じ入った次第。少し酔い加減で眠った後に目が覚めて真夜中のウッドデッキに出ると、月明かりに照らされた中禅寺湖が静かに凍って行く様子が見えた。だいぶ西に傾いた月から推測するに午前3時頃と思われるが、半分寝ぼけていたので判然とはしない。

翌朝、朝食前にぶらりとドライブ。
晴れ上がった冬の奥日光の見事なことと言ったらどうだろう。
正直、新しい一眼の試験にはもったいないくらいだった。
一本しかレンズ持って来なかったのは不覚としか言いようがない。

雪と氷の中をすべる竜頭の滝。紺碧の青空の下の戦場ヶ原。戦場ヶ原の湿原の中の潅木やススキが霧氷を纏い男体山をバックに輝けば、奥日光最奥の湯ノ湖はほぼ結氷し、僅かに日光白根を湖面に映すのみ。
冬に笑う奥日光、そんな中で金精道路だけは、静かに春の訪れを待っていました。

思わず愛車と記念撮影
こう見ると、冬に映える色だよな(笑)。
コメント
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