(昔日の賑わいを偲んで@小諸駅)
さて、それでは週末の信州行についてレポをしてみましょうかね。今回は信州方面にいるこちらの趣味の友人氏と小諸駅前で待ち合わせる事になりました。基本自分はこの趣味に関しては一人でのんびりやりたいようにやっているのですが、ひょんな事から知り合い話してみたら大学時代のバイトの先輩後輩と言う間柄だったというご縁から親しくさせてもらっている数少ない「趣味友」。彼はとりわけ信越本線のどっかで必ず週末どっかで撮っているようないわゆる筋金入りのお好きな方なので、土曜日の一日を勝手知ったるジモの方にぶら下がり、楽してしまおうというスケベな魂胆を快諾していただきましたw
圏央道から関越~上信越とスムーズに走り、小諸駅前までは3時間。待ち合わせより早く到着してしまったので、小諸駅前でプラプラ。早朝とは言えモルタルのくすんだ建物が目立つ駅前の風景はいかにもな一昔前の地方都市然としており、「スケッチ文化都市こもろ」と言うキャッチフレーズが何だか物悲しい。碓氷峠から鉄路が消え、新幹線は佐久平を通り、かつての東信の主要都市であった小諸の街も活気がなさげ。朝の長野行き快速に充当されるN103編成が留置線で待機中。
小諸が集合場所となった理由は、この日にツアーの団体用臨時列車が軽井沢~直江津を1往復する予定になっており、その車両に189系のN102編成が入るからとの事。N102は長野の車庫から朝に回送で軽井沢に向かうため、ここ小諸でさっきの留置線に置かれていた朝の長野行き快速(N103)と交換しますので、その風景を抑えたいというコダワリの指定ぶりなのであります(笑)。駅員氏に見守られながら小諸駅に滑り込むN102編成は最近塗装を新調し、特急あさま時代に付けていた側面の「■ASAMA■」ロゴが復活しました。かなりやつれた外見のN102とは比べ物にならない艶やかな状態で、ロゴも朝日に映えますな。
抹茶色が特徴の「あさま色」同士の交換を見送った後、今度は軽井沢からの団臨本走行を狙いに行きます。信濃追分~御代田間の浅間山を愛でる信越本線時代からの有名撮影地で迎撃すべく陣を構えるのですが、人ひとり立って一杯の狭い斜面を横に並んでお鉄が30人カメラを構える様は壮観。最近こーいうガチ系から離れて久しかったから緊張しちゃうんだけども、今日は心強い先達がおりますので(笑)。徒然草の時代から、何事にも先達はあらまほしきことなり。
到着してからしばらくはきれいに見えていた浅間山も、時間を経るに従い雲が増え、一進一退する露出と浅間の稜線にお鉄たちのヤキモキぶりたるや(笑)。一緒になって「光線と山と、両方とは言わんからどっちか片方は来いっ!」と念じていると、カーブの向こうから列車が姿を現す。右にバンクをかけて、アウトカーブを颯爽と駆け抜けるN102のヘッドマークには「あさま」の文字が。浅間の稜線は怪しくなってしまったけど、ヘッドマーク付きと言う思わぬサプライズで上々の滑り出し。
正直、その時はコトの次第をあまり理解していなかったのだが、この手の団臨で絵入りのヘッドマークが供されることは少なく(「臨時」が多いらしい)、なおかつ全体的に老朽化が進んだ長野の編成は幕が故障する事が多くてなかなか「あさま」幕が掲示される事はないんだとか。「あさま幕で来たからにはもう追うっきゃない」とヒートアップする先達氏、停車時間のある戸倉駅に回り込んで駅進入を狙い撃ち。「L」の文字こそないものの、正調あさま幕を逆光ながらキャッチ。
戸倉上山田温泉の最寄り駅である戸倉駅。戸倉上山田は信州でも有数の歓楽街を持つ温泉地でもあったので、信越本線時代の特急あさまも大多数が戸倉に停車していました。広い駅前通りと、湯客を迎えるアーチの立派さが栄華の時代を物語っているようですな。特急あさまで戸倉に降り立つ観光客、客を迎える旅館のマイクロバスがひしめき合っていたんだろう駅前広場。新幹線の開通は確かに都会との距離を縮めたかもしれないけど、こういうミドルクラスの地方都市の地盤沈下を進めた感じはする。
朝も写した「■ASAMA■」ロゴを、改めてパチリ。復刻ロゴですが、当時と比べると微妙にフォントが細いらしい(笑)。豪雪地帯を走る列車らしく、スカートと台車の二段構えのスノープロウがりりしいですなあ。運転台下のルーバーの武骨な感じもなかなか精悍であります。台車はインダイレクトマウントのDT32、ちょっと高い位置にある細身の台車枠と、突き出た枕張りに特徴があります。コイルばねが外から見えるウイングばねの支持構造は、自分が子供の頃電車の絵を描く時によくお手本にしていた台車でもあります(変な子供って言うなw)。
絵入りのあさま幕もいいけど、側面幕の「特急あさま LIMITED EXPRESS 直江津 FOR NAOETSU」の国鉄フォントも実に味わい深いよなあ。子供の頃読んでいたコロタン文庫の「国鉄特急大百科」。「つばさ」の行き先山形や、「ひばり」の行き先仙台は分かっても、「あさま」の行き先直江津と言うのはどこにある街なのかイマイチ良く分からなかった。上野駅で見た、どこか知らない遠くの街へ向かう特急列車には、私鉄沿線に育った自分の狭い世界の外へ向かうような未知の魅力があった。今思えばあれこそが旅への憧れだったんじゃないかと思ったりもするのだけど。
次回へ続く。