青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

今なお現役

2015年06月07日 08時46分37秒 | 長野電鉄

(飼い犬に手を噛まれる@長野電鉄3500系)

昔の営団車って何故かドアのところの扉が高い位置に付いてて、子供の時とか外が見えなくて嫌だったのを思い出しました。どうせ外は地下で暗いんだから見えなくたっていいじゃん、というのは大人の論理で、地下を走るからこそ駅に着いた時に蛍光灯に照らし出された駅名票を確認しないとどこを走ってるのかが分からないのが嫌でした(笑)。そんなドア部高窓の「昔の営団車」である日比谷線3000系こと長野電鉄3500系、今回はこの車両を使用した団臨&撮影会。そういやドア部に「指はさんじゃった子供が大泣き」的な直接感性に危険を訴えるステッカーってのも最近見なくなりましたよね。この場合は何故か「飼い犬に手を噛まれる」体に見える不思議。

  

撮影会までの待合室を兼ねて須坂駅の5番線ホームに留置された1000系「ゆけむり」。平成17年に長野の地を踏み、今年で早くも10年の歳月を迎える事になりました。本家小田急でVSEが10周年とかやってますけど、あの時のVSE2本新造で弾かれたのがこのHiSEなんですね。ワインレッドから長電レッドに塗装は微妙に変わりましたが、そのスマートなロマンスカーらしいフォルムは健在です。

  

前面展望だけでなく、ご好意で運転台まで上がらせて貰えるのがテンション上がる。正直これを楽しみに来たと言っても…(笑)。運転席のスペースが狭いのはそりゃ知ってたけど、機器類も凄くシンプルですね。そしてこんな座椅子で足を投げ出すみたいな窮屈なポジションで運転しなきゃならんのかと改めて。腰痛くなりそ。東芝製のマスコン周りに表示された「B特急停車駅注意(そりゃそうだよね)」「善光寺下停車(御開帳中だからね)」「中野松川停車(バラ祭りだからね)」の指示が時節柄ですねえ。

  

5番線と4番線の間に、ゆけむり・撮影会用のL2編成・団臨用のN8+N3編成を並べての撮影会。元東急5000系(青ガエル)を一斉淘汰するために導入された日比谷線3500系車両も、木島線・屋代線の廃止による2両編成の運用減や、東急8500系の導入に伴って徐々に数を減らしておりますが、この日はファンの方お手製の「かさだけ」「まるいけ」のヘッドマークを付けて久しぶりの晴れ姿。長野電鉄が2000系を導入し、志賀高原へ向けて特急を走らせ始めた当時の愛称らしいが、どこをどうやったらこんなヘッドマークが作れるのか。趣味の世界と言うのは突き詰めるとこういうものも生み出す活力となるのだなあ。


山ノ内線内の40パーミル連続登坂は、元々連接車でただでさえ台枠に非常に負担がかかる華奢な車両にはツライ事と思います。加えて展望席のため前面開口部が大きいだけにそんなに車体の強度もありそうには思えない。比較的きれいに使われているとは思うのですが、それでもよーく見ると車体の接合面には経年劣化による歪みや割れがあったりして…何か大がかりな不具合が出たとしたら、おそらく長電では修復不能なレベルのものになってしまうのではないかと。

それでも、NSE(小田急3100系)からの伝統を引き継ぐロマンスカーらしいロマンスカーとして今なお現役でいてくれる事にしみじみ感謝。小田急電鉄の平成時代の幕開けを飾ったこの華やかなる名車がいる限り、そしてこの車両が走り続けている限り、また信州に会いに来る事でしょう。
コメント
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