青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

伏木六渡寺、茫漠の街。

2021年10月15日 17時00分00秒 | 万葉線

(秋の草花揺れる駅@中伏木駅)

吉久の電停から出た電車は再び専用軌道に入りますが、この辺りまで来ると沿線の風景も茫漠として来ます。小矢部川と庄川に挟まれた砂州の上の低湿地帯に工場と住宅が並んでいて、万葉線はその縁をなぞりながら走って行きますが、中伏木駅は、秋の草花に揺れていました。

港湾地区の工場の燃料タンク、道と線路の間には柵もなく、消雪パイプからの地下水で赤錆びたコンクリートの道。向こうの踏切が電車の接近を告げると物憂げに遮断器が閉まって、コスモス咲き乱れる中を高岡行のトラムがやって来ます。

中伏木の街を歩くと、パルプの破片が積まれた置き場だったり、スクラップ工場のヤードだったり、何かの化学工場だったりと、それぞれの区域から何だか分からないような雑多な臭気が漂っている。まあ正直なところ良いニオイではないのだけど、それがこの街の体臭なのだろう。

六渡寺電停。「ろくとじ」なのか「ろくどうじ」なのか。駅の名前は「ろくどうじ」。JFE系列の資材のリサイクル会社の裏手にあり、なかなか見つけづらい位置にある。自分も中伏木から歩いて来たんだけど、工場街を大回りしないと行けない上にどうにも駅への目印がなく、普段の利用者の数は相応に少ないのではないかと思われる。

何もないような駅に見えますが、ここが高岡軌道線と新湊港線の分界点になっていて、構内には0キロポストが立っています。かつてはここが富山地方鉄道射水線の終点で、この駅で高岡軌道線と接続していた事に由来する訳ですが、そんな歴史も遠い記憶になりそうです。

コメント
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