青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

塔屋立つ そぼ降る雨の 名駅舎。

2022年06月04日 10時00分00秒 | 水間鉄道

(雨降り泉州・原型顔が行く@名越~森間)

もう6月になってしまったけども、未だにGWの話なんかをダラダラと続けている(笑)。それも、仕事が忙しくなったりしているので遅筆になってしまった。うん、水間鉄道の話。水間の沿線、終点の水間観音まで、何かあれば降りて撮り歩こうと思ったけど、雨に気勢を削がれて駅の周りをウロウロするのみ。途中、名越の駅で交換したのが原型顔の1001編成だったので、次の森駅で下車して貝塚から折り返して来るのを待ってみた。雨のそぼ降る駅で待つこと30分、懐かしい東横線のあの顔が、重々しい瓦屋根の家並みの中を走って来ました。

水間観音からの返しは三ヶ山口の駅近くで。基本的に沿線には家が立て込んでいて、そう引きで開けた場所がある訳でもない水間鉄道。東急のお古がのんびり往復する程度の路線なので、電車待ちの時間にスマホで作例を探したのだけど、その手のモノもあまり見当たらない苦しさはあった(笑)。何か雨も激しくなって来てしまい、靴もズボンも濡れそぼった中で何とか撮影した一枚。泉州と言えば、水分多く瑞々しい「泉州の水ナス」が有名ですが、そんな泉州らしいナス畑の風景。まだ若苗でナスの形も何にもありゃしませんが、水ナスより自分がしっとりしながらパチリ。

どうも雨に阻まれて撮れ高の上がらない水間沿線、もう終点まで行ってしまおうというコトで三ヶ山口から終点の水間観音へ。雨の中でも元気に子供は自転車に乗って踏切待ち。泉州の子供たちの笑い声に乗ってやって来た扁平顔、この日の日中は1001Fと1005Fの2運用。現在は日中30分ヘッドですが、3月までは20分ヘッドだったらしく、そん時はあと1運用くらいあったのだろうか。

列車は三ヶ山口から坂を上り、あっという間に終点の水間観音駅へ。ホームの上屋から吊るされているたくさんの苔玉。和の雰囲気がいかにも落ち着いた観音様の玄関口と言った風情。正直、もうちっと門前町的な観光地っぽい雰囲気で栄えているのかな?と思っていたのだけど、自分と一緒に終点まで乗って来た乗客は10人程度で、雨の日とは言え少し寂しいものが。今は閉め切って使われていないホームには、小さいながらも駅付きのカフェが店を開いていて、ここでコーヒーでも頂きながら初期の東急車らしい7000系のコルゲートを眺めるのも一興でしょうか。

2面2線のシンプルな頭端式ホームの先には、国の登録有形文化財にも指定されている立派な風格ある駅舎があって、いかにも古刹・水間寺の玄関口としての堂々たる佇まいを見せております。水間鉄道って言えば、自分の乏しい知識の中でもこの駅舎がシンボルかつランドマークという事は知ってはいました。1926年、大正15年の開業当時からの駅舎で、水間観音のシンボルでもある三重塔を模したデザイン。

駅舎の中は高い塔屋の下が吹き抜けになっていて、その塔屋の窓には矩形を組み合わせた鉄線で作られたデザインがあしらわれていて美しい。よく見るとニコイチで左右対称になっているのも非常におしゃれ。外見は仏教建築でも、そこはかとない西洋風味のニュアンスが散りばめられた感じがいいですよね。地方私鉄の建築物の中でも、特に大正時代から昭和初期にかけてのものはこの手の西洋の香りが仄かに残る大正ロマンものってのがあるんだけど、今まで訪問した中だと、ことでんの琴電屋島駅とか、上毛電鉄の西桐生駅なんかがこの手の良駅でしたね。

駅舎の壁に飾られた、水間観音の貫主様による「詣」の揮毫。さすがにここまで来ておいて、水間の観音様にお参りしない訳にも行きますまい。雨も少し小やみになって来たのを見計らって、レトロな駅から水間散策へ向かうとしましょうか。

 

 

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