(高崎の街の町はずれ@根小屋駅)
上信電鉄で高崎の駅から三つ目、根小屋(ねごや)という駅があります。あまり多くはない(?)上信電鉄のコアなファンの方で、この駅をモチーフに素敵な作品を上梓している方がいましてね。ちょっと気になっていたんですよね。そんな根小屋の駅は、県道から一本入った路地裏の駅。普通にクルマで走っていては少し見つけづらい場所に、色褪せた下見板張り&年季の入ったトタン張りの外壁と、紅い瓦屋根が葺かれた可愛らしいサイズ感の駅舎がありました。高崎に向かうサラリーマンが一人、気怠そうに駅に入って行く。駅前の「上信ハイヤー」のポール看板と併せて、「昭和の郊外電車の駅」という雰囲気と情緒を感じます。
今でも平日は駅員が常駐する駅で、窓口では出札業務も行われているようですが、この日は日曜日で窓口は休み。その代わりと言っては何ですが、駅付きの猫が一匹、出入りする乗客の相手をしておりました。結構全国の地方鉄道で「駅付きの猫」を売り物にするシーンってあるような気がするんだけど、上信電鉄の「根小屋の猫」は特にそういうアプローチはないような・・・電車がやって来るまでの時間、ひとしきりこの駅猫と戯れてみたのだけど、あまりいい表情をしてくれなかった(笑)。動物の撮影ってなかなか難しいですね。
明るい朝の日差し、目に染みるように鮮やかな黄色いベンチ。腰かけてコーヒー飲みながら電車を待つ女性の横顔にも平日にはないまったり感があって、何となく緩い空気が流れる日曜日の朝。高崎行の電車がやって来て、ホームに並んだ乗客をすべて回収。猫が見守る出発風景、駅員のいない土日。この駅は、根小屋ではなく、猫家になるらしい。
根小屋の駅を眺める踏切脇にて、高崎を折り返して来るデハデハを待つ。上州福島から高崎の間でもう一発やれれば・・・と思ったのだが、そこはローカル線と言えども腐っても電車。足が速くて捕まえる事は出来なかった。風は冷たいながらも、空晴れ渡り澄み渡り、何とも気持ち良い冬の朝。猫の駅を出る下りの列車は、空とお揃いのスカイブルーを身に纏ったデハ252が先頭の下仁田行き。それぞれの車両のパンタが上がっているのが、上信唯一無二のデハデハコンビの絆だろうか。 遠く榛名の山並みを從えて、何とも愛らしい大目玉のライトと、独特なボックス型の造形を写真に収めました。